北野監督とスコセッシ監督が描く男の闇社会
『アウトレイジ』(2010年度作品)
暴力団組織のかけひき、裏切り、殺しを北野監督が描いたヤクザ映画。裏社会の緊張感たっぷりのかけひきもスリリングですが、この映画の凄さはひとつひとつの殺しの残虐性でしょう。様々な殺人シーンは怖いし、思わず目を覆ってしまうけれど、暴力シーンは徹底的に見る者に痛みを感じさせないと意味がないというのがよくわかります。痛くない暴力なんてないのだから。
恐ろしくて残酷、そして常に死の匂いがする暴力団の男だけの世界を描いているのがいいですね。こういう映画で女がメインステージにしゃしゃり出て来ると白けますから。また、暴力団の生き様に情けをかけないところもいい。闇社会をストレートに描いて見応えのある北野監督作です。
監督:北野武
出演:ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、小日向文世、北村総一朗、塚本高史、板谷由夏、中野英雄、杉本哲太、石橋蓮司、國村隼、三浦友和ほか
『グッドフェローズ』(1990年度作品)
ギャングに憧れる青年がグッドフェローズと呼ばれるマフィア組織の一員になり、一からマフィアの世界を学んでいく姿を描いたスコセッシ監督の傑作。
『ゴッドファーザー』のようにマフィアを美化せず、一般の生活圏内に生きるマフィアの姿は、表向きは普通に見えますが、実は裏で恐ろしい事をしているというその闇社会の真実が怖い。ファミリーが集うレストランで何気に殺しの話をしていたりするんですよ! ああ、こうやって普通の人に紛れているのだと思うだけでも怖いし、笑顔で近づいてきていきなり暴力とか、突然豹変する様は思わずビクっとしてしまいます。
濁声でキレまくる悪党を演じたジョー・ペシは強烈な演技で、アカデミー助演男優賞を受賞しました。
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レイ・リオッタ、ロバート・デ・ニーロ、ジョー・ペシ、ロレイン・ブラッコ、 ポール・ソルヴィノ、クリストファー・セロン、ジュリー・ガーフィールド、 サミュエル・L・ジャクソンほか
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