犬が人間に願うこと『いぬとわたしの10のやくそく』

どんなに大きな愛情が間にある人間どうしでも、一緒に暮らすには相手を尊重する気持ちと、お互いが心地よく暮らすためのルールが必要。犬や猫を飼う上でも、それは一緒です。犬の立場から、共に暮らす人間たちへの願いという形でまとめられた絵本『いぬとわたしの10のやくそく』。作者不詳の英文の詩が、ネットなどを通じて世界に広く語られているものがいくつかの本になっている中の1冊です。


 


犬たちの願いの土台は……

動物の医療や高齢の犬猫向けの食べ物も発達し、犬や猫を家族としてとらえ、病気予防や治療に力を入れる人が増えても、人間より早く年老いていくという事実は変わりません。長生きした犬や猫の寿命は、人間の平均寿命よりはるかに短い10~15年ほどです。

老いるスピードは人間より早いけれど、人間が望むことを理解するのには少し時間がかかる場合があるということ、そして、そんな自分を信頼してほしいということなどを、この絵本は訴えます。

このお話には、この世と天国を結ぶ「にじのはし」が登場します。年老いたり、病気や事故などで苦しんで死んでいった犬たちも、にじのはしのたもとでは穏やかな時間を過ごします。そしてそこには、生きている間愛されたことのなかった犬たちや人間たちもやってきて、互いに寄り添い、一緒ににじのはしを渡っていくといいます。


「好き」だけでは成り立たない共に生きるということ

「好き」「かわいい」という感情だけでは動物を飼えないことを、多くの人は知っているかもしれません。でも、実際に一緒に暮らしてみてからではないと分からない、楽しさを超える多くの課題が、姿を現してくることも多いものです。大好きな人や大切な人の気持ちを自然に想像するように、一緒に暮らす動物の気持ちも想像してみることができたら、その暮らしはさらに愛しいものになることでしょう。その一助として、『いぬとわたしの10のやくそく』をぜひ手に取ってみて下さい。


様々な人間関係と重なる

犬と人間の暮らしが描かれていますが、様々な人間関係に置き換えて捉える方もいると思います。家族のようにともに暮らす関係、限られた期間に濃いつながりを持つ友人や知人……。人の一生の中で縁あって何らかの形で出会ったものの、その時期を過ぎたらなかなか顔を合わせたり会ったりする機会すらない間柄もあります。親子でも、いつか別々の生活を歩む時がやってきます。時に感情もぶつかり合うことがあるのが人間どうしですが、そこにお互いを尊重し、信頼する思いさえあれば、その出会いと共有した時間は、1つ1つがかけがえのない宝になっていくのかもしれません。


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