テレビ特有の「受身&閉鎖感」が成長のチャンスを逃している
残念ながら、この研究のデータだけでは、長時間のテレビ視聴がなぜ子供の心に悪影響を及ぼすのかという因果関係までは分かりません。だからといって、このデータを軽く流していいというわけではないので、分かっているデータからそのカラクリを探ってみたいと思います。以前に執筆した記事 「テレビの見過ぎが子供の心の成長に与える影響」 で触れた「テレビを見過ぎると相手の気持ちを感じ取るのが苦手になる」という要素。これにより、対人関係の悩みを抱えやすくなることが容易に想像できます。すると何が起こるかと言うと、その子はテレビとの狭い空間をより好むようになり、生身の人間との接点がますます減っていきます。
自尊心や幸福感というものは、他人との接点があってこそ育まれるものなので、テレビに費やされる時間が多ければ多いほど、その接点自体を逃してしまい、それが心に影響を及ぼしてしまっていると考えられます。
つまり、
テレビを長時間見る ⇒ 相手の気持ちを感じ取るのが苦手になる ⇒ 対人関係の悩みへと発展する ⇒ 他人との接点が減り、自尊心、幸福感が育まれない
という展開が推測されるのです。テレビ独特の「1人の世界」や「閉じこもり感」が心を成長させるチャンスを阻んでしまうわけです。
子供に適切な視聴時間とは?
一般的には、子供のテレビ視聴は1日最大2時間までと言われています。そして、安眠のためには、就寝の30分前までにはテレビを消すことが推奨されています。実際、6歳の小学1年生の子の1日のサイクルに当てはめてみれば明らかですが、学校から帰宅後、おやつ、宿題、遊び、習い事をしていれば習い事、夕食、入浴……と続けば、2時間以上見てしまうと、明らかに就寝時間に影響が出てしまいます。その点からも、2時間というのは、大きく見積もった数値と言えると思います。
これまでも度々書いてまいりましたが、テレビをゼロにする必要はありません。テレビはやはり子供にとって面白いものですし、ママだって助かります。全てを否定してしまうと、母子ともに窮屈になるので、メリハリをつけた活用をするのが一番。
ポイントは、見たい番組だけを見て、見せっぱなしにしない、そして、ながらテレビをしない。このポイントを抑え、テレビと上手く付き合っていきたいですね。
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