2日目。クルマ好きで良かった、と心から思える瞬間
2日目。前夜の盛大なパーティの疲れも見せずに、エントラントたちは早朝から愛車の洗車とメンテナンスに忙しい。ラリーイベントに参加してみると分かるが、みんな朝がとても早い。ふだんは寝起きの悪そうな人だって、がんがんに早い。これもまた、情熱の表れと言っていい。ラリー2日目は、いきなりハイライトから始まった。なんと、かの有名な倉敷美観地区内を、駆けぬけることができたのだ(ゆっくりとパレードラン)。おそらく、大変な時間と労力をつかって許可をもぎ取られたのだろう。主催者の実行力には頭が下がる。そう、この手のイベントは、強力な主催者と参加者の協力が上手くマッチしてくれないと成功などおぼつかない。
今年から立寄場所に加わった玉島地区の玉島ハーバーアイランドでは、この日最初のPC競技が行なわれた。初日も吹屋ふるさと村でPC競技が行なわれたが、雨のなか集中できなかったエントラントも多かったはず。ボクは、めっきりそうだった。というわけなので、天気に恵まれた2日目のハーバーアイランドが、実質的な競技初め。
PC競技とは、通称“線踏み競争”と呼ばれ、この種のラリーイベントには必須のイベントだ。単独もしくは連続する区間を決められたタイムでいかに走るか、その速さではなく正確さを争う競技だ。例えば、50m~30m~50mの3区間をそれぞれ5秒~3秒~6秒で走れ、といった具合である。
玉島地区を抜け、高速道路を使って再び県東部地域へ。向かったのは特別史跡旧閑谷学校。昨年も立ち寄って、あまりに凛とした佇まいの建物に感動した場所の再訪となった。ここでも、ギャラリーが大勢集まっていて、クラシック&スーパーカーの人気っぷりを肌でひしひしと感じる。
閑谷学校をあとにして、向かったのは昨年と同様に、備前大型自動車教習所。ここで最後のPC競技をこなし、いよいよゴールの岡山縣護国神社を目指す。瀬戸内から吹き込む暖かい風とすっかり春めいた陽光を浴びながらの最後のドライブは、感動のひとこと。クルマ好きで良かった、と心から思える瞬間だ。
最近、クラシックカーイベントによく参加する(この原稿も、イタリアのミッレミリア参戦を前に、ブレシアで書いている)。毎回思うことは、クルマ好きという共通項のもと、普段ではまったく出会う機会のないような様々な人たちと自然に交わり、友好を築き、友情を深めていくことができるという楽しみに満ちているということ。これは、何事にも代え難い、そして、得難い経験である。
クルマ好き、そのピュアな心をもって、仕事に、趣味に、奉仕に全力を尽くす。ベッキオ・バンビーノの精神が、いずれさらに大きな社会貢献となっていくような気がしてならない。
この手のクラシックカーイベントは、今や日本中で何百と開催されるようになった。ブームと言ってもいい。
確かに、クルマを手に入れるという難関はある。けれども、クラシックカーや年代物のスーパーカーの数は、減りこそすれ増えることはない。つまり、今買って、思いっきり遊んで、そこそこ維持できれば、損はしない。そう考えると、クルマ好きでノスタルジックカーに興味があるというのなら、今のうちに手を出しておくべき趣味のひとつだと思うのだが、どうだろう。
その前に、いちど近くで開催されるイベントに顔を出してみればいい。きっと、美しいクルマたちよりも、参加者たちの笑顔の方が、羨ましくなってしまうことだろう……。