間一髪で勝負強さを見せた、頼もしきコンビ
あの状況を見て、私は思わず「あー、出られない」と声を出してしまいました。周りの人から「うるさいよ」という目で見られているのも気にせず、泣きそうになりましたね。このまま負けてしまうのかと。シャドウダンサーが動けない状態は、なんと直線半ばまで続きました。残り200m。時間で言えば、あと12秒ほどでレースは終わってしまう状況。しかし、シャドウダンサーと戸崎騎手は、この絶望的な状況を見事に跳ね返したのです!
ゴールまで残り200m。頼もしき人馬は、目の前に空いたわずかなスペースを見逃しませんでした。スッとそのスペースを確保すると、狭いところから上位へ進出。先頭の馬にグングン追いすがり、最後は楽に交わしてゴールしたのです。まさに「格の違い」を見せた快勝劇でした。(諸事情で、レース映像を紹介できないのが非常に残念なのですが……)
渋滞に巻き込まれ、絶望を味わい、あきらめムードが漂い……その中でまたもドラマチックな勝利を飾ったシャドウダンサー。2着の馬との差はわずか「クビ」だけですが、実力の差は歴然でした。
シャドウダンサー3戦目の結果はこちら
武豊騎手とのコンビで、ダービーへの切符を狙う
そして迎える5月10日のG2京都新聞杯。昨年の日本ダービーを制したキズナは、何を隠そう、この京都新聞杯を快勝して本番へと向かいました。キズナの再現を狙う……というのはちょっと期待し過ぎかもしれませんが、いずれにせよ京都新聞杯は日本ダービーへの重要な前哨戦といえます。日本ダービーに出られるのは18頭まで。出走するには、トライアルと呼ばれる指定のレースで上位に入るか、もしくは収得賞金(※1着になって稼いだ賞金。G1~G3は2着の賞金も加算される)を積み上げるかの二つ。京都新聞杯はトライアルではありませんから、2着までに入って収得賞金を積み上げるしかありません。1着になればダービー出走は確実、2着ならおそらく大丈夫かな……という状況です。
もちろん他のライバルたちも、ダービー出走を狙って渾身の状態で京都新聞杯に出てきます。それほど憧れるのがダービーの舞台であり、だからこそ過酷な道のりなのです。
そしてこの京都新聞杯、シャドウダンサーには大きなトピックがあります。それは武豊騎手が騎乗するということ。シャドウダンサーをよく知る戸崎騎手から乗り替わるのは寂しいですが、同時に武豊騎手が乗ってどんなレースを見せるか楽しみでもあります。
そもそもシャドウダンサーの母ダンスインザムードは、現役時代に武豊騎手が乗ってG1桜花賞(阪神・芝1600m)を制しました。そしてシャドウダンサーの父ホワイトマズルは、ヨーロッパで現役時代を過ごした馬ですが、実はホワイトマズルが出走したヨーロッパのG1レースで、武豊騎手はパートナーを務めているのです。
父と母の現役時代を知る武豊騎手が、その子シャドウダンサーをダービーの舞台へエスコートする。もしそれが現実になったなら、何ともドラマチックではないでしょうか。もちろん簡単ではありませんが、ここはトップジョッキーの腕に期待したいと思います。
ダービーへの出走を夢見させてくれるだけでも、シャドウダンサーには感謝しかありません。それでもここまで来たら、やはりダービーに出走してほしい! その気持ちでひたすら応援したいと思います。
シャドウダンサーの戦いぶりは、テレビ東京の『ウイニング競馬』で見ることが可能。レースは5月10日(土)の15時35分スタートです。
(リンク)
シャドウダンサー|netkeiba.com
京都新聞杯|出馬表|netkeiba.com
ダンスインザムード|netkeiba.com