アレルギー/病院で受けるアレルギー治療

経口減感作療法の方法と現状

アレルギー治療の基本は、アレルギーの原因となるアレルゲンを除去することです。しかし、除去が難しい時に、アレルゲンに対する反応を抑える方法として減感作療法、免疫療法が用いられます。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

感作と減感作は

体にとって無害なものに対して、有害なもの(アレルギーを起こす物質:アレルゲン)と認識して、免疫反応が働く可能性のある状態を「感作」と言います。減感作とは、一旦、感作された状態が抑えられた状態で、有害なものと認識されていたものを無害なものとして慣れてしまうことを言います。アレルギー反応が起こらない状態にすることを、減感作療法、または、アレルゲンに対して免疫をつけることから免疫療法とも呼ばれています。既に、花粉症についての減感作療法、免疫療法については説明しました。今回は、経口減感作療法について説明したいと思います。
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経口減感作療法とは

従来、減感作療法は皮下注射で行われてきました。2014年からはスギ花粉症に対して舌下減感作療法が一般の医療機関でも特定の講習会を受講して試験に合格した医師によって行われるようになりました。経口減感作療法は、名前の通り、食べることでアレルギーを治していく治療です。主に、食物アレルギーに対する治療として一部の医療機関で行われています。今まで除去するしかなかったアレルギーを起こす食材を、まずは経口負荷試験で食べられる量を決定して、その量より少ない量で開始し、徐々に、または割と早期に、一定の量を食べられるようになる治療です。

食物アレルギー

食事

このように家族で同じ食材を食べたいものです

アレルギーの原因が食物である場合を、食物アレルギーと言い、蕁麻疹、ゼイゼイ等の喘息、呼吸困難、嘔吐下痢、腹痛などの症状を起こします。特に、問題なのは、アナフィラキシーです。アナフィラキシーは放置していると命に関わります。

食物アレルギーの多くは、6歳ぐらいに治っていくことが多いのですが、一部の子どもで、少量の食材でアナフィラキシー状態が続いています。除去が望ましいものの、一方で、除去への苦労は大変なものです。除去せずにすむならということで、現在、研究的に経口減感作療法が行われ、その有効性が報告されています。一方で、経口減感作療法の過程で、アナフィラキシーを起こす危険性がありますが、十分な観察のもとで行われていく治療です。

次のページで食物減感作療法の方法について説明します。
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