つけ汁の中にかき揚げを-天ざる、天もりの発祥店
平日のこの日は友人と2人、開店時間の11時30分を狙って伺います。堂々した店頭、暖簾の奥の自動ドアから入店。開店時間直後でしたが、すでに席の半分近くが埋まっています。テーブル席がずらりと並ぶ店内、右奥には小上がりに座敷席があります。入店してパっと目につくのは、正面奥の“庭”です。大きなガラス窓を通して美しい緑が印象的な箱庭。庭を臨める付近は空いていれば、ぜひ座りたい席です。
この日は店内ほぼ中央のテーブル席に腰を落ち着けます。メニューを2人で眺めながらオーダーを相談。友人は初訪問ということもあり、“室町砂場といえば”という代表メニューの「天ざる」「天もり」に標準を定め、「天ざる」(1600円)に決めます。私は両方とも食べたことがあるので、季節メニューから「竹の子そば」(1400円)のオーダーを。
同店の天ざるや天もりは、いわゆる普通のそばと天ぷらのセットではありません。そばの温かい大きなつけ汁の中に、天ぷら(かき揚)が入っています。こちらは夏の暑い時期でも美味しく天ぷらを、という思いから誕生したメニューで、かき揚の中身は海老と小柱です。
確かに蒸し暑い日には、高温の油を使用するようなメニューを頼むことを躊躇してしまいそうになりますが、これなら暑い日に冷たいそばと天ぷらを一緒に楽しめますね。
竹の子そばは、3月から5月ごろに提供される期間限定メニューです。たっぷりの竹の子と菜の花、見た目でもしっかり春を感じられる一品です。ちなみに同店の季節メニューは、6月からはとろろそば、秋には松たけそばなどが登場します。
ざるは更級粉、もりは一番粉を使用-豊富な一品料理も魅力
同じ友人と、今度は土曜日に2人で伺います。狙いは同店の人気おつまみメニューとお酒、そしてそば締め、という休日らしいランチ!?の実現です。幸運なことに、箱庭横の席に座ることができ、少しテンションがあがります。まずは「焼き鳥(たれ)」(750円)や「玉子焼」(650円)、「かまぼこ」(600円)など、そば店の定番おつまみをオーダーし、ビールで乾杯です。焼き鳥は串に刺さっていない、老舗そば店によく見られるスタイルですね。
仕上げはもちろんそば。あえて、「ざる」(650円)と「もり」(600円)の両方を頼み、2人で食べ比べを行います。ざるともり、広く一般的には“海苔がかかっているか否か”でその呼称が付いています。同店では、そばの芯部分を挽いた更級粉を使用したものを“ざる”、一番粉を使用し黒っぽい田舎そば風のものを“もり”、と呼んでいます。
白く甘みある“ざる”、よりそばっぽさを感じる“もり”……好みは分かれそうですが、どちらも正統派を感じさせる一品ですね。いずれも量は少な目なので、大ざるや大もりといった大盛りメニューや、そば2枚を頼んでもいいかも知れません。ちなみに同店のつけ汁は濃い目なので、江戸っ子ではないですが、持ち上げたそばの下少しの量を汁に浸し、ズルズルっといただきます。
明治時代がスタートし関所がなくなった年に誕生したそば店で、ランチはいかがでしょうか?
■室町砂場 日本橋本店
・住所:東京都中央区日本橋室町4-1-13
・TEL:03-3241-4038
・営業時間:平日11:30~21:00(土曜は16:00まで)
・定休日:日曜・祝日
・地図:Yahoo! 地図情報