そこで今回は、住宅取得を検討するにあたり、どのようなポイントから「決断」すべきかを考えていきます。結論を先に書くと、それは「良い人との出会い」に尽きるのだと思います。
「良い人」とは信頼でき、遠慮しないですむ人
前回、住宅取得にはポイントは大きく5つあると書きました。それは以下の通りです。(1)情報の収集を行う
(2)住宅展示場などで依頼先を絞り込む
(3)依頼先を決定する
(4)決定した依頼先と詳細を詰める
(5)新居に入居するための準備をする
より良い住まいづくりのカギは、以下に皆さんにあった良いパートナーに出会えるかで決まるといっていい。ぜひ、この点を考慮して住まいの検討をしていただきたい
さて、前回の記事で「(2)住宅展示場などで依頼先を絞り込む」について、「良い人に出会う」ことが最も大切であると書きました。それは全体を通じても決定的なカギとなることだと考えられます。では「良い人」とはどういう人なのでしょうか。
それはあなたにとって、あるいはあなたの家族にとって「信頼できる」ということ、さらに「遠慮をしないですむ」ということの2点を満たす人だと私は思います。まず、前者について考えていきます。
モノやサービスの対価を支払う以上、信頼できる相手を選ぶことは当たり前ですが、住宅の場合は高額な買い物ですから、さらに供給者側との信頼関係の構築が大切になります。なぜなら、住宅取得にあたっては依頼先とハイレベルな情報のやりとりが必要になるからです。
具体的には家族構成や年齢、住所、電話番号はもちろんのこと、世帯収入や貯蓄や負債といった情報、さらには家族一人ひとりの詳しいより踏み込んだ情報です。例えば、「趣味は何か」といった家族一人ひとりの情報を把握できないと、いくら良い依頼先であっても良い住まいを実現できません。
「長く付き合っていける」という観点も重要
また、そもそも、注文住宅の世界は何もないところからスタートするものですから、分からないこと、不安なことがたくさん出てきます。そうしたことをクリアするには、何度も何度も粘り強くやりとりをすることが大切になり、ですから後者の「遠慮しないですむ人」と付き合うことも重要になります。より良いプランは、パートナーとの隠し事のない関係から生まれるもの。そのためには様々な個人情報のやりとりをしなければならない
後々のことといえば、住まいは取得した後のことも大切。20~30年のスパンで長く愛着を持って暮らすためには、新築時からの信頼関係は欠かせません。信頼関係が損なわれていると、メンテナンスやリフォームなども、うまく行われにくくなります。
(2)の展示場巡りの中では、是非そうした観点からも行動するといいと思います。その中でできれば2社から3社くらいに絞り込んで、どこに依頼するかという感じで検討を進めていけばよろしいのではないでしょうか。
ただ、依頼先決断の段階になると、プランも含めた提案内容や価格などが、ある程度似通ってきて、どこに、あるいは誰に依頼先を決定すればいいのか、判断しづらい段階になる可能性があります。その際の有力な判断材料の一つとして、これまで説明してきた人間関係の善し悪しを考慮すれば良いのだと思います。
「良い人」についてまとめると「この人となら長く付き合っていける」というイメージでしょうか。住まいづくりは良いパートナーを見つけること、施主と事業者双方の相性が非常に重要な要素となるのです。
次のページでは、いよいよ住まいづくりの佳境となる段階について書いていきます。