ポラス
町家をモダン化した「和美庵」(左)と真っ白な現代モダン住宅「アルジール」(右)。ポラスグループの対照的な外観の2商品は07年度Gマーク品を受賞
「和」への回帰がトレンドになっています。日本の伝統的な住文化には快適に暮らすための知恵や工夫があり、それを現代のライフスタイルやデザインにアレンジして「ジャパニーズモダン」「和モダン」として新生させる動きです。しかし、和への回帰は200年住宅やエコの流れと無関係ではありません。今回はそんな時代背景をみてみましょう。

戦後日本の住宅のデザイン変遷

戦後、日本人の暮らしは急速に西洋化が図られてきました。住宅も同様で、リビングダイニングやキッチン・バス・サニタリーなどの考え方、インテリアや内装、また外観においても輸入住宅(米国風、南欧風、北欧風など)をはじめとして多種多様なデザインが導入されました。間取りではLDKに代表されるように、画一化が図られてきました。

格子スクリーン
部屋をほどよく仕切ってくれる格子スクリーンも、住宅の和洋を問わず最近増えている(写真提供:住友林業)
しかし、その世界各国の多種多様なデザインの洋風住宅の普及は、一方で住宅を多様化・個性化させ、そのデザインテイストに趣味が合わない次の買い手は壊して建てるという、必ずしもデザインだけの原因ではありませんが、スクラップ&ビルドの一因にもなってしまったように思います。日本人誰もが好み、長く愛され続ける普遍的な日本的デザインというものを見失ってしまったのです。

一時のシンプルモダン系のデザイナーズハウス全盛時代から今なぜまた、「和」のデザインテイストがトレンドになっているのか。ある住宅関係者は「長期間にわたって飽きがこないから」と指摘しています。200年住宅などを促す「長期優良住宅の普及促進に関する法律案」が今年2月に閣議決定されましたが、この「何世代にもわたって住み続けられる住宅を建設する」流れと全く関係ないとはいえないでしょう。

この長期住宅構想は、単に建物の耐久性や耐震性だけでなく、デザインにも及びます。いや、これまで耐久性よりもデザイン面でスクラップ&ビルドが繰り返されてきたことを振り返ると、むしろデザインのほうが重要といえるでしょう。こうした長期使用住宅を求める機運に加えて、洞爺湖サミットなどのエコ、ロハスなどが重なり、環境に負担をかけずに自然体で長く住み継いでいけるデザインの一つの形として、「和」が見直されています。

和のルーツはモダンデザインだった!?

トーヨーキッチン
古民家にもしっくり溶け込んでしまうトーヨーキッチン「ISORA type2」新色ロッソ・ジャポネーゼ。和風とモダンのルーツが同じであることを実感する
こうした社会背景のほかに、もう一つの流れがあります。現在のデザイントレンドを牽引しているものに、モダンデザインがあります。白を基調とした内外観で、インテリアを含めた全体をシンプルにまとめたデザインが多く、若年層から幅広い年代層で受け入れられていますが、実はこのモダンデザインはデザイン学上、和風の領域に分類されると言われています。おそらく、和の暮らし方の合理性とモダンデザインのシンプルさに親和性があるからなのでしょう。

いま話題になっている「和モダン」は、モダンデザインの中の「和」の要素を強調したものといえます。確かに純粋な和風建築には、ムダな装飾がなく、素材のもつ形をそのまま生かしていて、見る人に心地よさを与えますよね。「和」も「モダン」もムダを省いた直線的なデザインを暮らしに取り入れるという意味では同じルーツであり、だからこそ多くの年代層に「和モダン」が受けれられているのではないでしょうか。

事実、「和モダン」は中高年層や男性だけでなく、30代や団塊ジュニア世代の女性たちにも人気のよう。それを示す最近の調査を次ページで紹介します。