ハンス・ウエグナーのよきライバルであり、無二の親友であったデンマーク家具デザイナー
西新宿にあるリビングデザインセンターOZONE 5階のノルディックフォルムで、4月3日よりデンマークの家具デザイナー、ボーエ・モーエンセンの生誕100年を記念展示する「センス オブ モーエンセン」が開催された。デンマークの家具デザイナーといえば、世界中で愛用される「Y chair」をデザインした巨匠:ハンス・ヴェグナーがまず上げられるが、ハンス・ウエグナーと同年生まれで、よきライバルであり、無二の親友であったと言われるもう一人のデンマーク家具デザイナーが、ボーエ・モーエンセン。
北欧デザインの巨匠と共にデンマークデザインにとって欠かすことのできない代表的な人物だが、1972年58歳の若さで悪性の脳腫瘍を煩い惜しまれつつ、この世を去った。
普通の人々の生活に良質なものを届けたいと尽力したモーエンセンの家具デザインは、美しく実用性に優れ、半世紀を経てもなお私たちを魅了しその多くが現在もつくり続けられている。
彼は、デンマーク王立芸術アカデミーのコーア・クリント(デンマーク家具デザインの父と呼ばれる)に師事して家具デザインを学び、「生活に学ぶこと」、「歴史に学ぶこと」を理念としたデザインを貫いた。あえて註釈すると「生活を学ぶ」とは実用性を、「歴史に学ぶ」とはリ・デザイン(RE DESIGN/身近なモノのデザインを時代や社会の沿ったものにデザインし直す)のこと。
本展では、モーエンセンの思慮や感性が結集したデザインアイテムを紹介している。
また彼が旅先のスペインで見かけた一枚革の木製椅子にヒントを得てデザインしたSPANISH CHAIR /スパニッシュ チェア(1954年)。
アンダルシアから北インド地方に伝わる伝統的な椅子の様式を現代的にリ・デザインし、一枚革の力強さと幅広のアームがいかにもモーエンセンらしく、とても温もりあるイージーチェアである。「スパニッシュチェア」は当時車の普及により仕事を失った馬具職人の救済を考え、革を贅沢に使用したデザインにしたというエピソードで有名な椅子でもある。
モーエンセンの代表作のひとつ「ウィングバックチェア2204」
そして、本展でシンボリックに展示されたモーエンセンの代表作のひとつとされる「ウィングバックチェア2204」。彼が1939年からデザインを始めた「ウィングバック」は、18世紀の英国椅子を参考にリ・デサインしているのが特徴である。そして1963年にこのウィングバックチェア、アームチェアおよびフットスツールからなるソファシリーズをデザインした。