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3・3・4と10年間学んでも英語を話せない本当の理由(2ページ目)

文部科学省は、2020年をめどに、現行の小学5年生から取り入れている英語活動を、3年生に前倒し、正式に教科化する方針を発表しました。しかし、中学・高校・大学と10年間英語を学んでも、英語を話せない日本人が多いのはなぜなのでしょうか。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

小さい頃から英語を学ぶことの是非

英語を話せるようになるためにもっとも大切なことは、まずは、英語を楽しむという姿勢です。「できる」とか「できない」を考える前に、英語を楽しみ、間違えを恐れず、堂々と使うことが大切です。

そういう意味では、英語の早期教育にはメリットがあると言えるでしょう。小さい子は失敗を恐れず、おもしろいものなら何でも吸収しようとするからです。

一般的には、「小さい頃から英語をやっていれば……」という、英語の早期教育神話が根強いわけですが、その効果を疑問視する専門家は少なくありません。

早期教育の効果を信じて疑わない親とそれを否定する専門家。いったいどっちが正しいのかわからなくなってしまいますが、これにも、やはり理由があります。

小さい頃から英語の教材にふれたからといって、英語が上達するわけではないということ。そして、英会話教室で学ぶ英語と、中学・高校で学ぶ英語は違うということです。

「会話英語」と「テスト英語」の違い

英会話教室で学ぶ英語は「会話英語」で、中学・高校で学ぶ英語は読み書き英語、あるいは「テスト英語」と言っても過言ではないでしょう。多くの専門家は、小さい頃から会話英語を学んでも、テスト英語には効果がないと言っているのです。

しかし、そもそも「会話英語」と「テスト英語」は異なるのですから、英語の早期教育に効果がないと一概に言い切れるものではありません。ただし、小さい頃から英語教材で学んだり、英会話教室に通ったりしたからと言って、テスト英語が上達するとは限らないというのも、また真実なのです。

また、せっかく小さい頃から英語を学んで発音が上達したのに、学校では「カタカナ英語」に戻ってしまう、そんなことも十分考えられます。公立の中学校に通う子どもによくある傾向です。学校では、みんなが「カタカナ英語」なので、一人だけネイティブに近い発音だと恥ずかしいからというのが現実のようです。

ただ、最近では、英会話に力を入れている私立中学も増えてきています。中学受験の受験科目に英語はありませんが、中学、高校、そして大学と、その後英語を学ぶことを考えたら、小学生の間に英語力の基礎を身につけておくことも大切な受験対策の一つといえるかもしれません。

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