MRF(マネー・リザーブ・ファンド)とは
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)は、1997年10月に「証券総合口座」専用の投資信託として国内に導入されています。1円以上から預け入れができ、いつでもペナルティなしで解約(出し入れ自由)できることから、銀行の普通預金に近い機能を持っている公社債投資信託の一種です。運用実績に応じた成果が得られますが、過去1週間の平均運用実績が利回りという形で日々公表されています。毎日決算は行われていますが、実際には1ヵ月分の収益をまとめて投資元本に再投資する1ヵ月複利となっています。MMF(マネー・マネージメント・ファンド)に似通っていますが、運用対象となる公社債はMMFより短期。また、MMFのような30日間の据置期間(解約はできるがペナルティが課せられる)もありません。
MRFは、登場以来1度も元本割れを起こしたことはありませんが、金融危機などで元本割れが起きた場合、お金の出し入れが滞らないように、例外的に損失補填を認めることにしたようです。
余談ですが、MMFは2000年11月に米国で発生したエネルギー商社のエンロンが破綻(会社更生法適用)した際、エンロンが発行していた債券をいくつかのMMFが組み入れて運用していたことから、元本割れを起こしています。
事実上の元本保証で何が変わるか
MRFが事実上の元本保証商品に変わると、私たちの資金運用、ひいては資金管理にどのような影響が起こるでしょうか。これまでMRFは、株式や投資信託、あるいは債券などへ投資する際、あるいはこれらを売却した際にその投資資金をプールしておく商品でした。ところが、事実上の元本が保証される商品になれば、預貯金の代わりにもなるということです。平成26年4月下旬のMRFの運用実績は0.04%程度。出し入れ自由なので利回りが低いのは否めませんが、大手銀行の普通預金は0.02%、ゆうちょ銀行の通常貯金ですら0.03%に過ぎません。0.04%程度というのは、大手銀行の預入期間3~4年並みの金利水準と同じなのです。
ネット専業銀行、地方銀行のインターネット支店の定期預金を除けば、金利水準は出し入れ自由にかかわらず高めと言えるのです。大手銀行の定期預金代わりに、普通預金代わりにもなり得るのですが、日常の決済口座として使用できないのがネック。
しかし、法律上は決済口座としてMRFを利用することは認められている、言い換えればこれまではMRFを決済口座として利用するニーズがなかったことから、取扱い金融機関が日常の決済機能を付与してこなかったのです。今後、決済機能が高まればMRFの利用価値は飛躍的に高まると言えるでしょう。