行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第26回 中央官庁への道(2ページ目)

行政書士の仕事は行政庁に書類を作成して提出することです。行政庁と言うと、総務省や国土交通省などの中央官庁が思い浮かぶと思います。ただ、中央官庁が行政書士の仕事場になることはほとんどありません。しかし、まれに中央官庁と関係することもあります。今回は行政書士と中央官庁とのお話です。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


昼休みの中央官庁は大混雑

仕事で昼休みの中央官庁にいったのですが、ロビーは人であふれていました。名刺交換や挨拶がそこかしこで行われています。そして、昼休みの終わりを知らせるベルがなると、直ぐに消えていきました。

官公庁では昼休みをとる官公庁とそうでない官公庁があります。たとえば、市役所では、職員が交代制をシフトをとっていることが多く、お昼休みで窓口が閉まるということはないように思います。しかし、すべての官公庁が市役所のようになっているわけではありません。ご注意ください。

新規事業の打ち合わせで相談

新規事業を立ち上げようとすると、そこに立ちはだかるのが法律です。思わぬところに法律があるのです。

たとえば、居酒屋で、お酒を「出す」だけではなく、お酒をお土産に「売る」ことができるか。答えは、原則的にノーです。皆さんは、飲食店のテーブルメニューで、「餃子のお持ち帰り」を見たことはあっても、「お酒のお持ち帰り」を見たことがありますか?おそらくないはずです。法律により規制されているからです。

私が以前経済産業省後援の起業プロジェクトにアドバイザーとして参加したときも、様々な新規事業立ち上げプランのご相談を頂きました。しかし、法律で規制されていたり、または、法律で新規事業立ち上げの要件が厳しく定められており、法律が大きなハードルになっていました。

そう言った場合、新規事業が法に触れないか、中央官庁と相談することもあります。と言っても、対面相談ではなく、まずは電話相談から始めます。起業に立ちはだかるのは、まず法律なのです。

なお、このような新規事業の問い合わせについては、「ノーアクションレター制度」という、法令適用の可能性を事前に確認することができる法律上の制度があります。

中央官庁と言えば官僚ですが

私が対峙した官僚の人達は、若手が多かっただからでしょうか、偉ぶることなどなく、卒なく隙なく不備なく、淡々と業務をこなしていました。ですから、悪い印象はありません。

ただ、一度、ある省庁で、電話の途中で切られたこともあります。このようなことは、中央省庁・地方公共団体も含めて、これ以外に経験がありません。官僚も人それぞれと言ったところでしょうか。

ところで、官僚と対峙するには、相当に勉強をしてからでないと話になりません。正直、私自身は、能力と時間と費用に限界を感じます。必要とされる法律・書籍・書類などを読みこなすだけでかなりの時間と能力を要します。普通の行政書士事務所ですと、相当厳しいのではないでしょうか。

各省庁の官僚OBが行政書士登録している場合もあるので、そうような人材を中心に行政書士会が中央省庁対策として専門部署を設定する必要があるように思います。
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