介護支援専門員(ケアマネジャー)/ケアマネージャーの独立について

ケアマネージャーの独立 法人設立時の注意点(2ページ目)

ケアマネージャーとして独立する際、法人を設立する必要があります。ケアマネージャーの実務はよくわかっていても、法人を設立するとなると未経験なことが多く勝手が違ってきます。本記事では、法人設立時に注意すべきことを中心に紹介していきます。尚、本記事は独立や法人の設立を推奨する意図は全くありません。

執筆者:鈴木 康修


理念だけにとらわれていないか

経営理念や企業理念、ケアマネージャーとしての理念がとても重要なのは言うまでもありません。しかし、雇われている時とは違い経営者になる訳ですから、理念だけを考るだけでなく、多くの事務をこなす必要もあります。営業や経理、労務などの社員を雇う余裕があれば別ですが、そうでない場合は代表がすべて行わなければなりません。私の事業所はケアマネージャー2人体制ですが、法人の申請から決算処理、国保連の請求までできることは何でもチャレンジしました。

大金持ちになることは考えませんでしたが、組織を維持するために必要な利益は最低限確保しなければなりません。そうすると、損益分岐点が出てきます。そこに達するために必要なケアプラン作成件数も算出できますので、自分で自分にノルマを課していくことになります。理念以外にも考えなければいけないことが多いことを理解しましょう。


マーケティングを過信しない

経営方法は千差万別ですので私がとやかく言うことではありませんが、綿密なマーケティングをしすぎた結果、返ってチャンスを逃してしまうケースもあります。例えば、開業を予定している地域の高齢化率と地域包括支援センター・居宅介護支援事業数を把握し、どの程度の顧客を確保できるかシミュレーションをした結果、「居宅介護支援事業所の数が多いので競争率が高い」と開業を断念してしまう例を聞いたことがあります。

もちろん、その判断が間違っているという訳ではありません。実際、零細事業所が不利であることは否めません。しかし、行政機関が地域包括支援センターを運営しているケースや、コンプライアンスが徹底している大手法人の場合など、公正中立に業務を行い、利用者本位でケアマネージャーを紹介することもあります。この場合、ケアマネージャー個人のスキルや資質が集客を左右する重要な要素になります。つまり、ケアマネージャーに能力があって利用者利益につながるのであれば、仕事を紹介してもらえる率が高まります。また、近隣の居宅介護支援事業所が閉鎖や事業縮小をする場合は、一度に多くの顧客を確保できる場合もありますので、「運」も大きく影響していると言えるでしょう。

次のページでは要支援高齢者の対応について紹介します。
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