VW(フォルクスワーゲン)/ゴルフ

スポーツからコンフォートまで“全方位”ゴルフR(2ページ目)

実用車の筆頭格でありながら好き者の心をもまた捉えて離さないゴルフ。GTIとは異なるベクトルの、4WDを得た小さな高級GTというカテゴリーを築いた“至上のゴルフ”。リアルスポーツカーも顔負けのパフォーマンスだけでない、その真骨頂とは……。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

むしろ真骨頂はシリーズ最高のライドコンフォート

VWゴルフR

電子制御サスペンションのDCCを標準化、5つのドライブモードが選択可能に。ドライバーが任意に選択できるインディビデュアル、コースティングモードを備えるエコ、サスペンションの減衰力を高めパワートレインの応答性を高めるレースなどが備わる

VWゴルフR

2リッターターボは新設計のシリンダーヘッドを始め徹底的なチューニングが施された

ややこもり気味のエグゾースト音は、しかし、ノーマル系とは明らかに違う迫力の響きである。下っ腹にたまる系の重低音もある。身体全体をかすかに揺らして、ドライバーの“戦闘意欲”を高めようとしている。

モニター画面で5つのドライブモード(エコ・ノーマル・コンフォート・レース・インディビデュアル)から迷うことなくレースを選び、さらに排気音を高ぶらせて発進した。

加速フィールは、大波に乗ってはるか前方へと弾き出されたサーファー感覚、である。グワッと全身が前へと飛び出す。けれども、サスペンションがタイヤをしっかりと路面に押さえつけており、不安はみじんも感じない。サウンドそのものは、やや演出過多なきらいはあるけれど、トルクの盛り上がりに見合った音であり、走りの強烈さにはよくマッチしていると思う。

相変わらず、DSGの変速はキレがよく、それでいてシームレスだ。逆に、シングルクラッチのダイレクト感が懐かしく思えるほど、潔く段差なくシフトアップしていく。ギアが切れる瞬間の音も、盛大だ。
VWゴルフR

アイドリングストップ機構とブレーキエネルギー回生システムからなるブルーモーションテクノロジーを採用。JC08モード燃費は14.4km/lに向上している

加速時の安定感以上に感心したのが、コーナリング時の姿勢のよさと速さであった。4WDシステムを走行状況に併せて効果的にコントロールすることで、ドライバーの思いを汲み取った走りをみせる。面白くない、といえばそれまでだけれども、自在に操っている感を誰にでも味わわせてくれるという点で、このセッティングも捨てがたい。あまりに全てのコトが上手く運びすぎるから、飽きやしないかと心配になるほどだ。

リアルスポーツカーも顔負けのパフォーマンスの次に感心したのが、ライドコンフォートにも優れていた点だ。レース以外のモードを選べば、ゴルフシリーズ最高の乗り心地をもたらす。このライドフィールを知ってしまうと、もう、これより上のクラスの高級車なんて要らないと思うほど。スポーツ性もさることながら、むしろ、この点こそがゴルフRの真骨頂かも知れない。

いい意味で八方美人。ゴルフRの進化は、極めてぜいたくなものだった。
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます