むしろ真骨頂はシリーズ最高のライドコンフォート
電子制御サスペンションのDCCを標準化、5つのドライブモードが選択可能に。ドライバーが任意に選択できるインディビデュアル、コースティングモードを備えるエコ、サスペンションの減衰力を高めパワートレインの応答性を高めるレースなどが備わる
モニター画面で5つのドライブモード(エコ・ノーマル・コンフォート・レース・インディビデュアル)から迷うことなくレースを選び、さらに排気音を高ぶらせて発進した。
加速フィールは、大波に乗ってはるか前方へと弾き出されたサーファー感覚、である。グワッと全身が前へと飛び出す。けれども、サスペンションがタイヤをしっかりと路面に押さえつけており、不安はみじんも感じない。サウンドそのものは、やや演出過多なきらいはあるけれど、トルクの盛り上がりに見合った音であり、走りの強烈さにはよくマッチしていると思う。
相変わらず、DSGの変速はキレがよく、それでいてシームレスだ。逆に、シングルクラッチのダイレクト感が懐かしく思えるほど、潔く段差なくシフトアップしていく。ギアが切れる瞬間の音も、盛大だ。
加速時の安定感以上に感心したのが、コーナリング時の姿勢のよさと速さであった。4WDシステムを走行状況に併せて効果的にコントロールすることで、ドライバーの思いを汲み取った走りをみせる。面白くない、といえばそれまでだけれども、自在に操っている感を誰にでも味わわせてくれるという点で、このセッティングも捨てがたい。あまりに全てのコトが上手く運びすぎるから、飽きやしないかと心配になるほどだ。
リアルスポーツカーも顔負けのパフォーマンスの次に感心したのが、ライドコンフォートにも優れていた点だ。レース以外のモードを選べば、ゴルフシリーズ最高の乗り心地をもたらす。このライドフィールを知ってしまうと、もう、これより上のクラスの高級車なんて要らないと思うほど。スポーツ性もさることながら、むしろ、この点こそがゴルフRの真骨頂かも知れない。
いい意味で八方美人。ゴルフRの進化は、極めてぜいたくなものだった。