小さな高級GTという新カテゴリーを築いた“至上のゴルフ”
数ある最新モデルのなかでも、“よくできたクルマ”の筆頭格としてすっかり良好なイメージが定着した、ゴルフ7。実用車然としていて面白みとは無縁でありながら、その完成度の高さで逆にイマドキ、運転する歓びを与えてくれるというあたりに、最新ドイツ車の、クルマ造り哲学が現れているような気がしてならない。要するに、ゴルフというクルマの魅力は、運転することがこれっぽっちも楽しく思えない、まるで燃費を稼ぐために運転するような実用車、ではないということにある。
それは何も最新ゴルフで始まったことじゃない。歴代モデルを振り返ってみれば、すべての世代において、“クルマ好き”の心を確実に捉えてきた。
初代から続くGTIなどは、そのシンボリックな存在だろう。実用域から趣味の領域にかけて広がる奥の深さもまた、国産のベストセラーカーには期待できない、輸入車ならではの魅力であるとも思う。
実用車の筆頭格でありながら好き者の心をもまた捉えて離さないゴルフに、GTIとはまた別のベクトルをもつグレードアップモデルが初めて設定されたのは、02年、第4世代ゴルフの時代であった。それは、R32と呼ばれるモデルで、車名の数字が表す通り、3.2リッターのV6エンジンに4モーション(4WD)を組み合わせていた。これが、現代に連なるゴルフRシリーズの始まり、であった。
4モーション仕様という強みを得て、小さな高級GTという新たなカテゴリーを築いたゴルフRは、正に、至上のゴルフというべき存在だ。第6世代でV6からGTIと同じユニット(ただし別チューニング、4WDは継続)へダウンサイジングされたが、今回紹介する第7世代にもまた、GTIと同エンジンながら専用チューニングが施された280ps/380Nmの2リッター直4直噴ターボユニットが搭載されている。4モーションはハルデックス式電子制御タイプ、ミッションはデュアルクラッチのDSGで6速だ。
エクステリアの雰囲気は、シリーズ中別格の存在感である。特に、車高の低さと18インチタイヤ&ホイールの組み合わせが目を引く。車両から少し離れて眺めていると、まるでHotWheelのでっかいミニチュアカーが停まっているよう……。
もっとも、スタンダードモデルのTSIコンフォートラインより20mm、GTIと比べてもさらに5mm、車高が下がっているというから、大口を拡げたフロントバンパースポイラーや、シンプルな造詣のサイドスカート、左右2本計4本出しマフラーエンドと相まって、“違うゴルフ”感をみせているのは、当然といえば当然である。
センスよく(ヤカラ仕様にならず)ギリギリのセンでまとめられていると思う。とはいえ個人的にはもう少し、カオの威圧感が抑えめで、さらっと不気味な雰囲気を醸し出してくれた方が、“オトナの高級ゴルフ”っぽくていいと思うのだが……。マァ、そんなことを思う人は素のゴルフを選ぶだろうけれど。
インテリアは気に入った! スタンダードモデルでは、ところどころ豪華にぎらつくあたりが、かえってビンボーくさくて嫌だったけれど、シートやハンドル、ペダル類まで専用品となれば、コクピットまわりの印象もグッと高級感を増す。
エクステリアも、キメるところはキメて、そのうえで、この内装くらい渋め控えめのトーンで演出してくれればよかったなぁ、と、再び無いものねだりをしつつ、シフトレバー脇のエンジンスタートボタンを押した。