赤ちゃんの誕生を待つ期間の様々な思い『たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと』

妊娠中のナイーブな感情、赤ちゃんを待ち焦がれる思いを、流れるような優しい文章で歌い上げる絵本『たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと』。これから赤ちゃんを迎えるご家庭にもおすすめですが、子どもの成長につれて、親子で感情がぶつかることが増えたり子育てに難しさを感じたりした時にも、親子双方の癒しの1冊になってくれるかもしれません。

 

赤ちゃんと2人で見る様々な風景

小さな新しい命が宿ったと分かったとたん、まだ動きを感じないおなかの中の小さな存在を気遣って行動するようになり、どんな赤ちゃんがやってくるのか、自分はどんなお母さんになるのか、赤ちゃんとどんなことをして過ごすのか、毎日思いを巡らすようになります。

おなかの中にもう1つの命があるというのは不思議なことで、周囲の景色や物に対する見方、感じ方まで変えてしまいます。今まで何気なく見ていた光景が輝いて見えたり、気づかなかったものに気づいたり、ふとした時に聴いた音楽が、何とも言えず心を揺らしたり。見上げる空の色や漂う緑のにおいに、ただそれだけで幸せを感じたり。そして、自分のおなかの中という一番近い所にいるのにまだ抱きしめることができない大切な人に、早く会いたいという気持ちが抑えきれないほどに膨らんでいきます。

そんな妊娠中の思いを、この絵本は色々な動物のカップルや親子の様子を通し、歌うような文章で表現します。

命の育ち、誕生への期待を表現するダイナミックな仕掛け

絵には全体を通したダイナミックな仕掛けがあり、おなかの中での命の育ちと、次第に膨らむ赤ちゃん誕生への期待を見事に表しています。その仕掛けが終盤で解けた時、何か大きな頼れる存在に包みこまれたような、穏やかな気持ちになれるはずです。妊娠中の女性には、ぜひこの絵本を読んで、ゆったりとした気持ちになっていただきたいですし、パートナーの男性には、赤ちゃんを守っている女性はこんな感情になっているんだと、想像していただければいいなあと思います。

そして、どんなに楽しみにしていた赤ちゃんでも、子育ては楽しいことばかりではありません。子どもの成長と共に、親子で色々な感情がぶつかり合うことも増えてくるでしょう。そんな時にも、ぜひ、手に取ってみてください。「あなたがやってきてくれることも、こんな風に待ち焦がれていた」。面と向かっては言いにくい言葉でも、絵本を仲立ちにしたら、素直に届けられるかもしれません。


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