ひよわな「家計」をどう強くする?
私は家計とは「ひよわな生き物」であると思っています。一家の収入がすこし途絶えると、パニックにおちいる家計があります。たとえば、生計の担い手が長期入院などをすると、家族全員の生活が立ち行かなくなるのです。収入の変動に耐性がないといいましょうか。
しかし、ちょっとした努力の積み重ねることで、強くて家族の安心を生み出す家計に変えていくことができます。つまり、もともと弱い家計の「強靱化」を行うのです。
強靱化にあたって、お金はほとんどかかりません。少しの手間とやる気があれば十分です。消費増税などで、赤字に陥ってしまったなど、ピンチの家庭もあるかと思いますが、家計を強くしていくことで乗り越えることができると思っています。どんな危機にも負けない家計の作り方、その方法を皆さんにお教えしていきたいと思っています。
まずは、家計の現状把握から始めましょう。
家計簿で収支を把握する
家計にとっては「家計簿」で収支を把握するところから始めましょう。ちょっと難しい言葉になりますが、会社の損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)のことです。これらの項目には、収入と支出、財産と借金がありますので、それらを書いて全体把握していくことが大事です。まずは、給料は毎月ほぼ一定なので、変動するのが支出に当たる部分です。図では、自分たちで使える可処分所得と支出項目を分けています。
簡単なものでけっこうです。家計簿で大切なのは、構造よりも、実際の数値を入れていくこと。数字を入れてみて、お金が、一定のあいだ、どのように、どこを流れるのかを把握するのが家計簿の役割です。言葉で言うと簡単ですが、実際に、半年、一年にわたって家計簿をつけるのは手間と根気のいるものです。
収入の種類は、勤労収入、年金収入、投資をやっている人は、配当金などバラバラとはいる収入があります。面倒ですが、お金が入ってくるのは楽しいもので収入の記入にもそう時間はかからないでしょう。 問題は支出のチェックです。
面倒な支出をどう記録するか
面倒なのは支出です。支出の大項目は図のような6つほどになります。どうしても時間や手間が取れないという場合には、月単位、100円単位でもよいのです。具体的には、銀行引き落としやクレジットカード利用はすべてデータが残りますから大丈夫ですね。記録に残らない日々の支出を、どのように漏れなく把握するかがポイントです。たとえば、購入にともないレシートを必ず受け取り、月単位の袋にいれ、月末などにまとめてみるという方法があります。レシートのない交通費のようなものは、メモか付箋に交通費とかいて日時と金額を記入したものを袋にいれます。
最後に、月に一度、現金と預金を確認するとともに、月締めを行います。帳簿上と現金が一致することは実は少ないのですが、その不一致の理由をしっかりと追求することが非常に大切です。 また、月ごとの黒字赤字がでます。12ヶ月で年間集計となりますが、図には家計簿(年間集計)をあげています。年間収入から年間収入を引くと年間の黒字か赤字か明らかになります。
自分の資産と負債(借金)を把握する
次に、バランスシートを使って、自分の資産と負債(借金)を把握する必要があります。図のバランスシートとは資産と負債(借金)を把握するためのものです。
これに調査日を何年何月何日と決め、資産及び負債(借金)の種類と金額記入し合計すると、資産と負債の合計がでます。
これでバランスシート(貸借対照表)の完成です。負債よりも資産が大きければ純資産があり、その逆は超過債務状態にあると言えるわけです。これの使い方は、たとえば住宅ローン残高がある一方で、多額な預貯金があれば、使い道が決まっている貯蓄でないのならば、住宅ローンの繰り上げ返済などに使う方法を考えることができます。
最後に…家計強靱化にも限界が!社会保障と民間保険の活用を
家計簿とバランスシートが用意できれば家計の強靱化となるか、というと、決してそうではありません。これらは、強靱化の最低必要条件です。強靱化のため現状を把握し策を考え、実行に移し、一歩前にでたということです。結果、1年、2年をかけながら強靭化を確認していくことになります。たとえば、この4月から消費税が8%に上がりましたが。この増税にどう対応するのか、強靱化された家計では、難しい問題ではありません。この支出を減らそうなどの方法を考えることができるからです。
ただし、世帯の家計がいくら強靱なものになってもイザというときに対処するには限界があります。健康保険や介護保険などの社会保障は国民全般を対象としていることから、制度そのものを熟知しておくことで、家計をもっと強くすることができるでしょう。たとえば高額療養費制度などを知っていれば、入院しても多額の現金を用意する必要は少ないのです。(この制度を利用すれば一般的な家庭で、ひと月にかかる医療費の上限は9万円ほどですみます)
そのうえで、社会保障のような公的制度だけでなく、生命保険をはじめとする民間保険を利用することにより、イザというときにでも、家族の生活を守ることができるのです。