守り伝えていく「祈り」の心
大浦観音堂の十一面観音立像は「腹帯(はらおび)観音」と呼ばれ、子授け、安産の観音様として人々に信仰されてきました。その祈願方法は観音様のお腹に腹帯を巻くというもので現在でも行われており、今回の展覧会でもその信仰の形を伝える腹帯を巻いた姿で出展されています。また安念寺の如来形立像、菩薩形立像は、その名称が示す通りすっかり風化した姿で現在では何の尊像であったかさえもわかりません。しかしその姿も村人が兵火から守るために田んぼに埋め、掘り起こした仏たちの体をいたわる様にして大切に洗い清めたからであり、「いも観音」の愛称で現在も人々に信仰されています。
仏像は単なる美術品ではありません。こうした先人たちからの「祈り」の心を後世へと守り伝えていくのも、これからの私たちにとって大事なことではないでしょうか。
その他18体すべての観音様一体一体に、それぞれの観音様を守ってきた人々の思いがこめられています。神仏と共に生きてきた日本人の心を再発見させてくれる展覧会です。
大浦観音堂十一面観音立像(平安時代) ※本展出陳作品
安念寺如来形立像、菩薩形立像(平安時代) ※本展出陳作品
■東京藝術大学大学美術館『観音の里の祈りとくらし展-びわ湖・長浜のホトケたち-』
2014年3月21日(金・祝)~4月13日(日) 月曜日休館
住所:東京都台東区上野公園12-8
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
ホームページ:http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/nagahama/nagahama_ja.htm
場所:Yahoo!地図情報