行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第23回「後進指導の道」(2ページ目)

受講生の合格者には開業する人も出てきました。しかし、行政書士を募集している事務所はほとんどありません。合格者は下積みをする機会を与えられず、開業するしかありません。このような体制のためでしょうか、合格者達から開業の相談を多く受けるようになっていきます。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


営業と集客は、「反面教師と経験談を」

営業は私が苦手とするところなので、反面教師にして欲しいと思っています。飛び込み営業などについてはほとんど未経験なので、他の行政書士の例もあげるようにしています。

もちろん、自分自身の経験も伝えています。ビラ配り、ホームページ集客、アドワーズ広告、ブログなど自分の行った広告の費用と効果について伝えるようにしました。具体的に、問い合わせに対してどのくらいの成約率になるかなどの話をすることもあります。

特にホームページ集客による利点と欠点については、多くの経験談や試行錯誤も踏まえているので、最も有益なアドバイスではないかと思っています。

実務能力の習得は、「専門書と実体験を」

行政書士試験は実務と乖離している試験です。合格しただけでは、実務で必要とされる知識を身につけたとはいえません。勉強をしないと実務で失敗する可能性があります。そこで、専門書の購入や行政書士会に研修制度の利用をすすめるようにしています。

ただ、机上で学ぶだけでは不十分です。実際に現場でその知識がどのように使われているかを知る必要があります。そこで、依頼者にお願いをしてご理解を頂き、仕事の場に同席してもらうこともしました。残念ながら、それほど多い場を設定できてはいないのですが、民事法務・行政法務の現場を合格者に体験してもらいました。

報酬の設定は、「行政書士会の報酬統計表を」

依頼者とトラブルになる可能性がもっとも高いのは報酬です。トラブルにならなくても、報酬の金額をどう切り出すか難しい問題です。

インターネットで報酬の比較は簡単にできるようになりました。一方で、基準となる報酬規定が撤廃され、報酬は完全に自由化されています。報酬は悩みの種です。

そこで、行政書士会の報酬統計表の使い方をレクチャーするようにしています。これは単なる統計表であって、使い方が書いてあるわけではありません。ただ、最頻値、平均値、最小値、最大値などが客観的数値が掲載されています。

行政書士は公益職ですが慈善事業ではありません。しっかりと適正な報酬を受けなければやっていけません。そのためには依頼者を説得しなければいけません。

なぜ、最頻値と平均値が離れているのか、最小値と最大値にこれほどひらきがあるのはなぜかなどしっかりと説明をしないといけません。ここらへんに関する経験談を伝えています。
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