ミュージカル/テーマ別おすすめミュージカル

親子で(も)観たいミュ4『魔法をすてたマジョリン』

子供と一緒に劇場に行ってみたいけど、どんな作品がいいか分からない。そんなパパ、ママにお勧めしたい作品を、抑えておきたいポイントともどもご紹介する「子連れで(も)観たいミュージカル」シリーズ。今回は春休みに開幕する、天真爛漫なこども魔女の成長物語『魔法をすてたマジョリン』をご紹介します。後半は「特別篇」として、マジョリン役の稽古に励む女優さんお二人へのインタビューを掲載。どうぞお楽しみください!

松島 まり乃

執筆者:松島 まり乃

ミュージカルガイド

誰もが好きにならずにいられないマジョリンを救うべく、クライマックスでは場内が一つに!

『魔法をすてたマジョリン』マジョリンとニラミンコundefined撮影:阿部章仁

『魔法をすてたマジョリン』マジョリンとニラミンコ 撮影:荒井健

上演時間=2時間5分(休憩込)

〈こんなファミリーにお勧め!〉
  • 分かりやすいストーリーが好み。(例えば人間社会への風刺色の濃い『人間になりたがった猫』などと比べ、本作は直球で、とても分かりやすいストーリー。より低年齢から楽しめる作品です)?
  • 笑いもほどよくまぶしてほしい。(おネエ風の魔女ニラミンコ、歌舞伎調の台詞もあるブツクサスなど、魔界には“濃ゆい”キャラが勢揃い。笑える要素もふんだんにあります)
  • 子供に、素直な心を教えたい。(友達って素敵。人間って素敵。ありがとうって素敵。そう思わせる場面や台詞が、本作にはたくさんちりばめられています。子どもの付き添いのつもりで来て、実はパパやママのほうがじーんと来てしまうことも多いようです)
  • 『魔法をすてたマジョリン』追いつめられたダビッドとマジョリンundefined撮影:阿部章仁

    『魔法をすてたマジョリン』追いつめられたダビッドとマジョリン 撮影:阿部章仁

  • 歌が大好き!(クライマックスでは、主人公マジョリンが絶体絶命の窮地に。それを救えるかもしれないのが、ダビッドがマジョリンに教えてくれた、友情の素晴らしさを歌う「心から心へ」。でも、魔女たちも邪悪な歌を歌ってマジョリンたちの歌声を掻き消そうとします。ここで加勢しないと、マジョリンは火あぶりの刑になってしまう!歌好きはもちろん、ふだん歌なんて歌わないんだけどというパパも、思わず一生懸命に歌わずにはいられないお芝居です)
〈何歳から大丈夫?〉
ストーリーが分かりやすく、劇団四季のファミリーミュージカルの中でも特に低年齢から楽しめる作品だと言えるでしょう。だいたいの状況を追うことが出来、歌も大好きな3歳なら、主題歌を口ずさみながら帰るほど、夢中になれるかもしれません。

〈どんなミュージカル?〉

『魔法をすてたマジョリン』マジョリンとブツクサスundefined撮影:阿部章仁

『魔法をすてたマジョリン』マジョリンとブツクサス 撮影:荒井健

劇団四季文芸部と梶賀千鶴子さんによる台本。小学生魔女マジョリンが人間界に出かけ、友達を作ることで成長してゆく様を、テンポよく描いた作品です。クライマックスは劇場中を巻き込んで歌合戦が繰り広げられる、エキサイティングな展開で、魔界の“濃い”面白キャラたちも見逃せません。鈴木邦彦さん作曲、宮川彬良さん編曲のナンバーも親しみやすいものばかりで、小学生の頃に一度観ただけなのに大人になってもメロディを覚えているという人も多い、“愛され度”の高いミュージカルです。

〈物語〉
『魔法をすてたマジョリン』絶体絶命のマジョリンを救うのは?undefined撮影:阿部章仁

『魔法をすてたマジョリン』絶体絶命のマジョリンを救うのは? 撮影:阿部章仁

123歳……だけど、魔女の世界ではまだ小学生のマジョリンは、好奇心いっぱいの女の子。年に一度の魔の山の祭りに忍び込んで先輩魔女たちに見つかり、魔法の試験を受けるはめになります。修業のため初めて出かけた人間界で、マジョリンは少年ダビッドや村人たちの優しさに触れ、少しずつ魔女の「邪悪な心」に疑問を抱くように。しかし困った人間を助けたマジョリンは掟を破った罪で処刑されることになり、村人たちが救いに来るも、絶体絶命!唯一、魔女たちに打ち克てるものとはいったい……?!

子連れ観劇レポート

子供はもうすぐ4歳。以前は観劇中、お席でもぞもぞしたり、登場人物のメイクを怖がったり、「おにぎり食べたい」などと言いだすこともありましたが、観劇というものがどういうものか分かってきたこともあり、今回は最初から最後まで集中していました。2幕途中でダビッドたちが「皆さんもこの歌を覚えて、一緒に歌って下さい!」と「心から心へ」を歌うと、それ以降登場する歌はことごとく追いかけ、まだ音程が定まらないなりに口ずさむほど夢中に。幕が下りるなり「マジョリンと握手する!」とかたい決意?を表明しました。ロビーでの「お見送り」でしっかり握手してもらい、劇場を出ると満足げに「楽しかったね」。浜松町駅までちょこちょこと歩き、ついこのあいだまでベビーカーに乗ったり、途中で「抱っこ~」と所望しながら自由劇場を訪れていたのになあ、とママは感慨にふけってしまいました。

『魔法をすてたマジョリン』撮影:荒井健

『魔法をすてたマジョリン』撮影:荒井健

お芝居の方はというと、ママにとっては中学生の頃に観た青山弥生さん演じるけなげなマジョリンが絶対的な存在だったのですが、この日の長野千紘さん演じるマジョリンも、純粋無垢で素敵。魔女に吹き込まれる「いたずら心」も、ダビッドに教えられる「友情」も、スポンジのようにすっと吸収してゆく様子が手に取るように分かります。シンプルなストーリーだからこそ、クライマックスではブツクサスがまず場内の観客に「一緒に歌って下さい」とタイミングを示し、次にマジョリンが情緒に訴えるように、そしてさらにダビッドが正義感に訴えるようにと同様の台詞をニュアンスを変えて発するといった具合に、観客が自然に心動かされるよう工夫。改めて、緻密に練られた台本・演出であることに気づかされる今回の公演です。

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