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すべての経験が今を築く『ぐるんぱのようちえん』

ひとりぼっちだった大きなぞう「ぐるんぱ」が色々な仕事に挑戦し、頑張っているにもかかわらず何度も挫折感を味わいながら、天職を見つけていくまでのお話『ぐるんぱのようちえん』。初めて発行された1965年から、多くの子どもたちに愛され続けているぐるんぱです。

執筆者:千葉 美奈子

 ひとりぼっちだったぞうが天職を見つけるまで『ぐるんぱのようちえん』

ひとりぼっちだった大きなぞう「ぐるんぱ」が、色々な仕事に挑戦し、頑張っているにもかかわらず何度も挫折感を味わいながら、天職を見つけていくまでのお話『ぐるんぱのようちえん』。大きな体に優しそうな笑顔、いつも一生懸命なぐるんぱは、初めて発行された1965年から、多くの子どもたちに愛され続けています。自分の居場所ややりがいのある仕事を見つけるぐるんぱの姿は、大人の心にも響くものがあることでしょう。


 


何に挑戦しても、ちょっとずれてしまう……

ひとりぼっちで暮らしているうちに、汚くくさくなってしまったぐるんぱ。仲間のぞうたちは、みんなでぐるんぱの体を洗って、働きに出すことにしました。川に連れて行かれてきれいにしてもらったぐるんぱは、みちがえるほど立派になり、張り切って色々な場で仕事体験をさせてもらいます。びすけっとやのびーさん、おさらつくりのさーさん、くつやのくーさん、ぴあのこうじょうのぴーさん、じどうしゃこうじょのじーさん……。色々な人を訪ねていきます。ぐるんぱはどこの場でも一生懸命仕事をして、作り出したものは非常によい出来に見えるのです。ただ、それぞれのお店の人たちが求めているものを作れなかっただけ。それによって「もう けっこう」と何度も言われる体験を繰り返し、今まで作ったものを抱えながら、転々と職探しを続けます。


見つかった天職!

しょんぼり、しょんぼり、しょんぼり、しょんぼり、しょんぼり……。体験した仕事の数と同じだけの挫折に、自信をなくしそうになるぐるんぱ。しかし、12人の子どもがいるおかあさんとの出会いが、ぐるんぱの大きな転機となります。

ぐるんぱは、子どもたちを楽しませることが得意だったのです。自分が得意なことに気づいたぐるんぱは、生き生きとし始めます。生き生きとしたぐるんぱの周りには、常にたくさんの子どもたちが集まるようになりました。


ぐるんぱの今を築いているのは、今までの経験

子どもの頃からの夢を保ち続けてその通りの職業に就く人もいれば、自分のやりたいことがなかなか見つからない人もいます。せっかく就いた仕事を様々な事情で辞めて、新しい仕事探しに苦労する人もいます。小さな頃の子どもの将来の夢は、コロコロ変わるものですが、そんな子どもたちを見ていると「とにかく今できることに一生懸命取り組もう!」と声をかけたくなります。

いわばニート状態で引きこもっていたぐるんぱは、仲間に引っ張り出されることで勇気をもって新しいことに挑んでいきました。自分の居場所ややりがいのある仕事を見つけることは、そうそう簡単なことではありませんが、挫折感を味わいながらもそれを見事に成し遂げて行ったぐるんぱの姿はとてもかっこいい! これからの未来を生きていく子どもたちにも挑戦し続ける心を失わないでほしいですし、子どもたちが様々な挑戦ができる社会であってほしいですね。

ぐるんぱが色々な仕事を体験して作った数々のものも、最後に見つけた仕事の中で、ちゃんと出番が用意されていました。一生懸命に取り組んだことに何1つ無駄なことはなくどこかで生きてくるということを、ラストページいっぱいのカラフルな世界が語りかけてくれます。
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