謝罪の言葉を述べたものの、その後は反論に終始した佐村河内氏。そこに猪瀬氏との共通点があった。

謝罪の場で反論に終始した佐村河内氏。そこに猪瀬氏との共通点があった。

今や全てが虚構と判明した“偽ベートーベン”こと佐村河内守氏がついに会見を行った。冒頭で謝罪の言葉を述べたものの、半ばからは反論のための会見となり、攻撃心を露わにした。


空回りする名誉毀損の訴え

会見において佐村河内氏は、詐病や代作を告発した作曲家の新垣隆氏を相手どり、名誉毀損で訴えると主張。しかし新垣氏の証言によって失われたのは、他人を騙すことを目的とした佐村河内氏の偽りの演出であり、それは本来実在しない架空の名誉に過ぎないため、その真相を明らかにされたことは名誉毀損にはあたらないと思われる。


猪瀬直樹前東京都知事との共通点

今回佐村河内氏の会見で気づいたのは、猪瀬直樹前東京都知事との共通点だ。

医療法人徳洲会グループからの不正な資金の受け取りが発覚し、辞任に追い込まれた猪瀬前知事。猪瀬氏は問題発覚当初から、終始自らの正当性を主張していたが、その発言に矛盾する事実が次々と明らかとなり辞職せざるを得なくなった。

猪瀬氏はジャーナリストとして政治家や役人といった権力者の不正を舌鋒鋭く糾弾し、正義の番人として名を売ってきたような人物だ。

辞任の引き金となった資金は裏金なのか借り入れなのか、要求したのか提供されたのか、借用証が本物なのか偽物なのかが注目を集めたが、彼にとっての致命傷は、「それまで権力の不正を追及してきた本人が権力を握り不正を行った点」に尽きる。


出直しのチャンスを自分で潰す

仮に、全ての言い訳をやめ、信頼を裏切ったことについて全面的に謝罪し、潔く身を引いていたならば、失敗はその1回で終わり、別の仕事で出直すチャンスも残されたはずだ。しかし彼は罪を認めないというもう1つの非を犯し、そのチャンスも潰してしまった。

佐村河内氏にも同じことが言える。

会見を機に、自分の犯した非を全面的に認める潔さがあれば、キワモノ的ではあるとしてもそれを逆手にとった形で出直すチャンスもあったかもしれない。もちろんそうしたことに反感を持つ人はいるが、世の中では改心した元詐欺師などがその知識や技術を生かして犯罪防止に協力するなど、キワモノが活躍する例も少なくない。

しかし彼は会見において謝罪は形式的なものにとどめ、他者への攻撃に転じた。そして新垣氏に対して脅迫同然の告訴宣言を行うことで、わずかに残された出直しの可能性さえ完全に潰してしまった


「王将」を取られても対局をやめないようなもの

つまり2人に共通するのは、進退窮まった状況になっても責任を認めず、何とかごまかそうとする往生際の悪さだろう。それは将棋で言えばすでに「王将」を取られたにもかかわらず、対局をやめないようなものだ。


本当に信用できる人ははじめから嘘などつかない

ところで2人にはもう1つの共通点がある。それは、全ての信用を失ってもなお、自らの正当性を主張する点だ。

会見で見せた借用書について、猪瀬氏は「本物だと信じてもらうしかない」と言い、会見で話す内容について佐村河内氏は「天地神明に誓って本当のこと」と言った。この点でも2人の行動様式は一致している。

すでに大きな嘘によって信用を失っている人間から、この期に及んで信じろと言われて信じる人はいない。

なぜなら、本当に信用できる人ははじめから嘘などつかないことを人は知っているからだ。


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