都心部のビル 150棟以上紹介!
取り上げられているのは梅田界隈、心斎橋・難波界隈から大阪城の辺りやあべの周辺まで、広く大阪中心部。オフィス街にとどまりません。150本以上取り上げているビルたちはどれも個性的……、というわけでもなく、あまり興味の無い人にとっては「普通のビル」にしか見えないものもあります。しかし各ビルにはスペックとともに簡潔な説明が添えられており、それを読めば「見るべきポイント」がわかる仕組みになっています。
大阪にある「日本一のビル」
数々の説明を読んでの発見は「日本一」や「日本初」あること。冒頭でも述べた「日本一高いビル」は2014年3月にグランドオープンする「あべのハルカス」、「日本一高いマンション」は三越大阪店跡地に2009年竣工した「The Kitahama」。ほかにも「日本初のダブルデッキ(2階建て)エレベーター設置」の大阪大林ビルなどが紹介されています。「ビルと言えば東京」とステレオタイプな考えを持った人は、その考えが改められるとともに、「かっこええやん、大阪のビル」って思えるようになるはずです。消えゆくビルに一抹の寂しさ
センチメンタルな気分にさせられたのが「消えゆくビル」。解体済みや解体予定にある14棟のビルが紹介されています。何度も目にしたことがあったが気にも留めず通り過ぎ、そして解体されていったビル達の写真を見ると、懐かしさというよりも、寂しさを禁じ得ません。「大大阪時代」の建築はもちろん、高度経済成長期に建てられたビルも次々と建替えの時期にさしかかっています。この本を読むことで「スクラップビルド一辺倒を考え直そう!」と思う方が一人でも増えればいいのにと思うばかりです。
有形文化財の指定を受け「文化的」に認められたビルは様々な形で語り継がれていくのですが、そうではない「普通のビル」は歴史に名を留めること無く消えていきます。そんな「大阪の文化」を皆さんの記憶にとどめる為に、街歩きのお供としておすすめできる一冊です。