外国人向け高級賃貸住宅が次々転用!?

横浜の山手でも外国人賃貸住宅が分譲マンションに転用された例がある

横浜の山手でも外国人賃貸住宅が分譲マンションに転用された例がある

その月額賃料、なんと531万円(ペントハウス・専有面積500平米超)。ラグジュアリーを極めた高級賃貸「ラトゥール代官山」が業界の話題をさらったのは(竣工直後の)3年半前の出来事だ。

当該地は、従前外国人向け一戸建て賃貸住宅であった。隣戸との境をブロック塀やフェンスで区切らず、敷地は緩やかに連続し合い、中央部には屋外パーティなどを催すこともできる広い空間が用意されている。セキュリティは外周に張り巡らされた、いわゆる「ゲーティッドセキュリティ」方式である。 

都心や城南エリアで、あるいは横浜山手あたりの高層マンションが建てられない低層住居地域では、同様の外国人向け賃貸住宅が点在していたわけだが、近年その建て替えが促進され分譲マンションなどに転用する例が散見される。建物の老朽化が主な理由のようだが、3年前に起きた東日本大震災で外国人が減ってしまったことも大きな要因のひとつのようだ。

東京都における外国人人口の推移

東京都外国人人口推移

東京都外国人人口推移

右のグラフは、東京都心部の外国人人口を時系列で表したグラフである(データ出典:東京都。平成24年7月までは外国人登録者数、平成24年10月からは住民基本台帳上の人口)。

推移をみると昭和50年代後半から右肩上がりで増えてきた外国人人口は、東日本大震災で下落に転じる(1)。原発問題と絡み、地震に対する恐怖が芽生えたのだろうか。主に欧州の大使館が集まる港区ではその直前から減少傾向にあった。(2)および<下のグラフ(2)>

3種類の点線は、都全体の総数、区部、都心9区を示しているが、総数と区部が昨年から上層に転じているのに対して都心9区ではそれが顕著に見られない<下のグラフ(1)>。各区を見ても、新宿区は増加が鮮明であるが、他区は横ばい(かそれに近い状態)が多い。外国人居住エリアは東日本大震災を境に、都心集中の傾向を保ちながらも広域化しているのではないかという推測も成り立つ。

港区は二桁減

東京都外国人人口推移、平成25年の平成23年比

東京都外国人人口推移、平成25年の平成23年比

昨年、当サイトで取り上げた元麻布「The Upper House」はホーマットマンションの建て替えである。ホーマットシリーズは専有面積100~250平米の外国人向け賃貸住宅シリーズとして有名だが、これがいま再生の期を迎えている。

一方、築浅の高級賃貸物件にリノベーションを施し、分譲に切り替える例も増えはじめた。「六本木ヒルズ」敷地内、南端近くに立つ高級賃貸「六本木アレンツ」は、昨年から「ウエストミンスター六本木」として分譲。興和不動産(現新日鉄興和不動産)の「サイオン桜坂」は竣工(2009年11月)前後で分譲に切り替えた珍しいパターンだ。

本来なら外国人をメインターゲットして稼働していた賃貸住宅が、様々なバリエーションを経ながら、日本人に軸足を向け収益化あるいは換金化が図られようとしてる。欧米人のライフスタイルは、友人知人を招いてのホームパーティが日常的。大きなパブリック空間とプライベート空間との動線の分離(PP分離)が望ましい。折しもアベノミクスの影響で都心部の地価は上昇トレンドに入った。大きな面積を有した物件は予算の壁が立ちはだかる。かつての優雅なラグジュアリーレジデンスは、近い将来希少性を増していくものと予想せざるを得ない。

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