LEDの良さを生かした来迎寺

来迎寺

写真1. 住宅街の中にたたずむ来迎寺

「お寺のあかり」というとロウソクの灯りが揺れるような幽玄なイメージを浮かべる方も多いと思いますが、今年生まれ変わった来迎寺は、最新の照明設備による快適性と木の香りにあふれた明るく開放的なお寺です。(写真1)

設計には山本想太郎設計アトリエが当りました。照明計画は中島龍興照明デザイン研究所が担当しました。今回、設置された照明器具265台の全てにLEDを採用しました。

これまで日常の維持管理をお一人で担ってきたご住職にとって、長寿命のLEDはメンテナンスの面で負担の一つを減らすことができます。したがって高天井でもランプ交換の必要性はほとんどなく、少ない電力で大光量が得られることから、電気代金をあまり気にせずに済みます。

ただし、このことだけなら単に省エネ目的のLED化に過ぎません。それでは時々見かける、眩しくて雰囲気を損ねた「ただLEDにしたお店」と同じようなことになりかねません。そこでどんな点に気をつければ、雰囲気が良くおサイフにもやさしくなれるのでしょうか。

色温度の統一

来迎寺

写真2. 色温度を揃えることで統一感のある外観に。

今回使用したLED照明の光色は、全て電球色(2700K)に統一しました。これにより内装材の木は温もりが強調され、空間全般に和やかな雰囲気になりました。(写真2)

LEDには他の光源にはない、たくさんの光色のバリエーションがあります。これからは、どんな空間でも明るさと同時に色温度に関するコンセプト立てが重要です。


 
例えば隣接する空間を同じ光色にすることで部屋同士をつなぎ、空間を広々と見せることが可能です。一般に昼白色のような高色温度のLEDが電球色に比べ若干、高効率なのですが、来迎寺では統一感と居心地の良さを優先しています。

配光の使い分け

来迎寺

写真3. 須弥壇のエリアが内陣、畳のエリアが外陣

LEDの登場によって、住宅照明にも器具の配光形状の検討がより行われるようになりました。配光形状とは、分かりやすく言えば光源を中心に広がる光の形のことです。光の形は私たちの目には見えませんが、なんとなくイメージすることはできます。正確には明るさを計測することによって求められます。

例えばスポットライト器具のように狭い光の広がり(シャープな光)もあれば、裸電球や球形の乳白クローブ器具のように360°ほぼ同じ強さで光りが拡散する配光もあります。

同じ光源でも配光形状が異なれば照明効果も変わるため、どのような照明にしたいかによって配光形状の選定は重要になるのです。

LEDのランプや照明器具には特に数多くの配光の種類が用意されています。

例えば来迎寺の本堂でも、天井の高い内陣には24°のシャープな光を発するLEDダウンライト器具を、それを囲む外陣には55°のやや光が拡散したLEDダウンライト器具と使い分けています。

結果としてご本尊が明るく浮かび上がり、檀家さんなどが座る外陣には柔らかい明るさを得ることができました。


 
次のページでは「照明手法の多様性」「使える調光」についてご紹介します。