世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

フォンテーヌブローの宮殿と庭園/フランス(3ページ目)

フランスにルネサンスをもたらし、パリを「芸術の都」に飛翔させるさきがけとなった宮殿がフォンテーヌブローだ。約800年のあいだフランス王たちに愛され続けたこの宮殿は、ナポレオンに「これこそまさに王の宮殿なり」と称されて皇帝の居城となった。ルーヴル宮殿(美術館)、ベルサイユ宮殿と並ぶパリ近郊の三大宮殿のひとつ、世界遺産「フォンテーヌブローの宮殿と庭園」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

世界遺産「フォンテーヌブローの宮殿と庭園」の見所

舞踏会の広間

格天井や装飾された柱が美しい舞踏会の広間。内部装飾は主にアンリ2世の時代のもので、Hのイニシャルがあちらこちらに記されている

大花壇

芝のミニマルなデザインが美しい大花壇。ベルサイユ宮殿と比べると非常にシンプルだ。この他にもイギリス式、フランス式等々、多様な庭園がある

フォンテーヌブローの主だった見所を紹介しよう。下記以外にも、ルイ13世の間、マリー・アントワネットの小部屋、皇帝の寝室や執務室、王妃の寝室や遊戯室など、多数の見所がある。

■フランソワ1世の回廊
フランソワ1世がイタリア・ルネサンスの芸術家、ロッソ・フィオレンティーノに命じて造らせたギャラリー。フランソワ1世の集大成といえる空間で、もともとは国王専用の回廊だった。全長60m・幅6mの回廊は華麗な彫刻や絵画で埋め尽くされている。

■舞踏会の広間
フランソワ1世が建築した全長30m・幅10mほどの広間で、王たちはここに貴族を集めては舞踏会や祝宴を催した。いってみればフランス宮廷文化の中心といえる空間だ。

 

■ディアナの回廊、絵皿の回廊
全長約80mのディアナの回廊は16000冊の蔵書を保管する図書館。もともと王妃の私室だったが、ナポレオンやナポレオン3世によって図書館として整備された。絵皿の回廊は神々の絵画と128枚のセーブル陶磁器で装飾された通路だ。

■三位一体礼拝堂
フォンテーヌブローのナポレオン

ポール・ドラローシュ「フォンテーヌブローのナポレオン」1845年、ライプツィヒ造形美術館。退位の間で署名を行った直後の姿

13世紀にルイ9世が建てた礼拝堂を、アンリ4世やルイ13世がルネサンス式に改修した。王たちはここで神に祈りを捧げ、洗礼などの儀式を行った。

■玉座の間、退位の間
王の私室をナポレオンが自分のための部屋として改装したのが玉座の間だ。金を多用した派手派手しい空間で、各国の偉人がここで皇帝・ナポレオンに謁見した。一方、そのナポレオンがエルベ島に流される前に退位の署名を行った部屋が退位の間だ。

■庭園
特に有名なのが白馬の中庭で、ナポレオンはエルベ島に流される前、馬蹄形の階段下で兵たちに挨拶を行った。この他にも数々の中庭や花壇、池があるほか、宮殿の外には広大な庭園が広がっている。

■博物館
宮殿内にはナポレオン関係の品を集めたナポレオン1世博物館と、東洋の秘宝を集めた中国博物館が設置されているほか、宮殿各所にギャラリーが設けられている。

 
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