シェイピングとは
工夫次第でいろいろなトレーニングが可能になるのがクリッカートレーニング。 |
こういう行動を教えたい、というゴールをあらかじめ決めておき、そのゴールに向かって行動を細分化し、少しでもゴールの行動に近い行動を見せたならクリック、つまり行動を少しずつステップをもって強化していくことで、最終的にゴールとする行動を強化する、といった手法と考え方がシェイピングです。
ネコに部屋の電気を消してもらうことも可能
「シェイピングを使った面白い実例があります。部屋の電気のスイッチがベッドから遠くて、それが面倒だと思っていたある男性が、飼いネコに電気を消してもらおうかと思い立ちました。缶フードの蓋に前足をタッチすることから始め、それを徐々に電気のスイッチに近づけていき、ステップをおって行動を強化すると共にキューをつけることで、最終的にネコにスイッチを消してもらえるようになったんです。そんなことができたら便利ですよね(笑)」と、山田さんが興味深い話をしてくれました。ガイドとしては、それだけトレーニングに根気よく望むことができるなら、自分でスイッチを消す方が楽なのではないかと思ってしまいますが(笑)、この例のようにシェイピングを用いれば、工夫と努力次第で様々なトレーニングが可能になるということです。例えば、自分の体の周りを回らせるなどのトリック、新聞を取ってきてもらう、ドアの開け閉めをしてもらう……など。
実際に、アメリカでは盲導犬や聴導犬、ハリウッドのタレント犬など、クリッカーを使ってトレーニングされていることが多いそうです。負の要素を与えず、生き生きとした表情が出せるといった意味では、特にタレント犬には最適なトレーニング方法なのかもしれません。
問題行動の矯正などにも効果あり
その他、玄関のチャイムが鳴ると吠え続けて困るなどの問題を、シェイピングしながらチャイムが鳴ったら自分のベッドへ行くように行動をすりかえることも可能ということ。実際にあった例としては、視力を失ったことでトイレがうまくできなくなっていたコを、ちゃんとトイレシートからはみ出ずにトイレができるように直せたこともあったそうです。「視力がなくとも、クリッカーであれば、“そう、そう、それだよ”と的確に犬に気づきを与えることができますし、このコの場合は足先などをタッチ(T-タッチ)してあげることで自分自身の体の動きを最意識させることも試みました。また、聴力が使えなくても、匂いでマークをすることもできるのですよ」(山田さん)
一見、とっつきにくく思えるクリッカートレーニングですが、実は生活の様々な状況において、またそのコそのコの状況によって、広範囲に活用できるものでもあるのですね。
3回目のクリッカートレーニングはここまで。次回は、シェイピングについてさらにお話を進めます。
【関連記事】
⇒クリッカートレーニング-1(基本)
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⇒クリッカートレーニング-4(シェイピングについて)
⇒クリッカートレーニング-5(ターゲット・トレーニングについて)
⇒クリッカートレーニング-6(エモーショナルシグナルについて)
⇒クリッカートレーニング-7(ターゲットスティック/ダウンを教える)
⇒クリッカートレーニング-8(ヒールワークを教える)
【関連サイト】
PRAISE TOUCH(『プレイズタッチ・パートナーズ』公式ウェッブサイト)
RICO’S CANINE MASSAGE SCHOOL(山田さんが主宰するスクールのサイト)
RICOSホームページ(山田さんの活動に共感された企業がRICOSブランドを展開)
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