4割が未解明のまま事実上の終了
記録が見つかり、年金が増えた人数は延べ297万人。増えた年金額(生涯)は2.1億円にも上る
国は、2010年から2013年までを集中作業期間として「最後の記録解明」をしていました。これが3月で終了することもあり、一つの区切りとして状況の報告をしました。
それを見ると、宙に浮いた年金記録5095万件のうち、
・解明できた記録 2983万件
・解明できなかった記録 2112万件
となっています(2013年9月現在)。4割の記録がいまだ解明できない状況のようです。
第1次安倍内閣、その政権を担った民主党も最後の1件まで調べると宣言し、多額の予算を使って解明をすすめてきましたが、この3月で事実上の解明作業の打ち切りとなります。
今後も解明作業自体は続けるようですが、体制は大幅に縮小されます。我々が自分の手で記録を確認し、間違いがあれば申告する流れとなるようです。
そもそも年金記録問題とは何だったの?
現在、国民1人に1人の基礎年金番号がありますが、以前は制度ごとに年金番号があり、1人で複数の年金番号を持つことが少なくありませんでした。それらの番号を基礎年金番号へ統合する過程で漏れがあり、残された記録があることは2007年以前から指摘されていました。元々の番号について、昔は紙媒体で記録されていましたが、これをコンピューターに記録させる作業の課程でも入力ミスが少なからずあり、上手く基礎年金番号に統合できなかったものも数多くあったようです。
2007年の社会保険庁改革関連法案審議中に、この残された(宙に浮いた)記録が5095万件もあることが発覚し、管理や作業のずさんさに対し、国民の年金制度への不信の増大、はたまた政権そのものへの不信に発展しました。
また年金記録が宙に浮くということは、本来受け取れるべき年金が払われていないことになり、単なる「ずさんさ」では済まされない異常事態となったわけです。
「宙に浮いた年金記録」「消えた年金記録」「消された年金記録」の違いなど、続きは次のページで。