マシンガン打線の再現も夢ではない?
日本一にも輝いた1998年の横浜(マシンガン打線)を彷彿とさせる、つなぐ野球で快勝した中畑DeNA。
監督就任1年目の一昨年が4勝17敗3分け、昨年が5勝18敗1分けで、2年間の通算では9勝35敗4分けと大きく負け越している相手に「オープン戦だからそこまで意識しない」と言っていたが、いざフタを開けてみたら、本気で勝ちにいっていた。
2月22日、オープン戦の初戦となった巨人戦(沖縄セルラー那覇)。DeNA打線は巨人のエース・内海(通算9勝19敗)に対して二回、7安打で一挙に8点を奪った。結局、13安打で10点を奪って10対2で快勝。驚くべきはその内容で、長距離砲のブランコでさえ大振りせずに左前打を放つなど、長打はいっさいなしの単打のみだったことだ。
まさに38年ぶりにリーグ優勝を果たし、日本一にも輝いた1998年の横浜(マシンガン打線)の復活である。当時、石井琢―波留―鈴木尚―ローズ―駒田―佐伯(中根)―進藤―谷繁と中距離打者が連打でつなぐ“マシンガン打線”を形成。鈴木尚は2年連続首位打者を獲得し、チーム打率2割7分7厘、642得点はリーグトップとなった。翌1999年のチーム打率2割9分4厘はセ・リーグ記録として残っている。
この再現も夢ではなくなってきて、中畑監督は「長打で一気に点を取るより、単打でつなぐ方が相手には一番のダメージになる」と満足げで、「オープン戦だけど、内海から打ったのは大きい。イヤなイメージを持ったんじゃないか」と手応えをつかんだ。
ただ打つだけではない。四回に菅野から2点を奪ったが、この攻めも今年のDeNAを象徴する。四球で出塁した梶谷が、後藤の左前打で一気に三塁を陥れた。これは「シートノックから左翼の動きを見ていた」とアンダーソンの緩慢な動きを見逃さなかった梶谷のファインプレー。流れを逃さず、相手の隙を突く攻撃は、昨季までのDeNAにはなかったもので、まさに巨人のお株を奪ったといえるだろう。
もちろん、投手陣の整備は急務で、守備陣も不安はある。しかしながら、攻撃陣は明らかに“進化”してきた中畑DeNA。「原ジャイアンツに勝ちたい。勝てば優勝争いができるチームになるし、クライマックスシリーズ出場も見えてくる」という指揮官はあくまでも本気である。