エスプレッソは料理まで含めたトータルな食文化のひとつ
その後、阿部さんは「真のナポリピッツァ協会」日本支部の副支部長をつとめる渡辺陽一さんにスカウトされるかたちで、南イタリア料理店「パルテノペ」へ移る。ナポリ生活の長かった渡辺さんの案内のもとに体験したイタリアは、成熟した地方色豊かな食文化で阿部さんを魅了した。「エスプレッソは料理まで含めたトータルな食文化のひとつ。バールは人々の生活習慣のなかにしっかり組みこまれていました」
阿部さんはそう回想する。
「白髪の老夫婦が経営するバールが格好よかったり、そこで人々がエスプレッソを手に立ち話をしている姿が自然にさまになっていたり。バールはそんな社交場でもあるんですよね」
渡辺さんから教えられた要諦は、「バールマン」としてのふるまいだった。エスプレッソの抽出技術だけではなくお酒にも精通し、お客さまと言葉を交わしながつねにフロア全体を見渡しているバリスタこそが、お店の顔、バールマンなのだ。
※この続きは『コーヒーピープル』でどうぞ。登場する14人のお店は、ねじまき雲(東京)、KUSA.喫茶(千葉)、喫茶室豆灯(北海道)、REC COFFEE(福岡)など。全国の書店やAmazonなどで発売中。