ELEPHANT FACTORY COFFEEの姉妹店が東京に誕生 

店舗は三軒茶屋の南口にのびる「なかみち街」の一角。

店舗は三軒茶屋の南口にのびる「なかみち街」の一角。

京都の名店、エレファント ファクトリー コーヒーの姉妹店がこの九月、三軒茶屋に誕生しました。

エレファントファクトリーは珈琲と読書の愉しみに満ちた空間があまりにも魅力的なために、初めての訪問客を100パーセント迷子にさせるとんでもない立地さえも、見どころのひとつに変えてしまいました。それは河原町の繁華街の入りくんだ路地裏の一角、怪しげなビルの急階段をのぼったところにあります。
床の一角には、時を経て黄ばんだ楽譜がちらばって。

床の一角には、時を経て黄ばんだ楽譜がちらばって。

そんな京都の“象工場”を訪ねたことがある人々は、三軒茶屋駅のほど近く、小さな飲食店が吹き寄せられた路地をゆく道すがら、すでにちょっと胸を高鳴らせています。猥雑な環境がいかにも象工場のひそむ界隈を連想させるから。

そして、古ぼけた建物の2階に通じる危なっかしい階段をコトコトのぼっていくころには、もう嬉しくてにやにやしてしまうのです。
壁の粗い凹凸や、モノたちの錆びた質感も大きな魅力。

壁の粗い凹凸や、モノたちの錆びた質感も大きな魅力。

木製の扉を開けると、そこには京都店そのままに豊かな陰影を湛えた、珈琲と読書のための空間がひろがっています。心をつかんで離さない魅力にあふれた、独特の空気の肌ざわり。いくつものランプの灯が高さを変え、遠く近くに淡い月光のような輪をにじませて。

いくぶん廃墟めいた美しい色彩の印象を決定づけているのは、どこか北方の砂浜で潮風にさらされて色褪せたような風合いの床板とカウンターで、奇跡的にも、象工場に使用したものと同じ木材――おそらくかつては北米の工場の床板だったものが調達できたのだそうです。
店主、高橋美賀さん。開店前に京都店で1週間、実地訓練をしたそう。

店主、高橋美賀さん。開店前に京都店で1週間、実地訓練をしたそう。

象工場と月工場。ほとんど唯一にして最大の違いは、京都のあるじが大男であるのに対して、三軒茶屋のあるじが美しい女性だということ。ふたりは十数年前に東京で、フランス雑貨店で働く先輩・後輩として苦楽を共にしたことがありました。

次ページでムーンファクトリー・コーヒー開店の経緯をお伝えします。