女の子の育て方は難しい?
いつも穏やかというわけではない、女の子のママも悩んでいる!
では女の子のママは、悩み知らずなのでしょうか?
いえいえそんなことはありません。女の子のママだって、たくさん悩んでいます。女の子のママ特有のお悩みもあります。ここでは、女の子のママが感じやすいお悩みを4つピックアップし、向き合う上で気をつけたい点を心理学的に解説していきます。
<目次>
女の子の育て方の悩み1:口答えがいちいち生意気
女の子の育て方が難しい理由の1つ目は、口答えがいちいち生意気ということがあげられます。女の子は、幼稚園に入ったあたりから、ママがカチンとくるようなことを言い返してきたりすることが増えるようです。「ママだって○○してるじゃない」
「〇〇とは言ってない、××って言ったの」
「一番○○なのは、ママだよ」
のような言葉。しかもそれが図星だったりするので、余計に腹が立ちます。
「ママなんて大嫌い」と言っていた頃は、まだまだ可愛かった、でも最近は、「ごもっとも」「おっしゃるとおり」と認めざるをえない皮肉を言う「小さなオンナ」と化している……。
女の子は精神年齢が高く、しかも言語習得が男の子よりも得意とされています。それもあって、口答えワードも覚えるのが早いのですが、耳にしなければ、覚える機会もありません。「生意気だ」と思うのは、大人のような口をきくからであって、その出所は大人です。その刺激を受けた女の子たちが、学校などで互いに影響し合って、生意気な物言いはエスカレートしていきがちです。
ママが我が子に発する言葉を気をつけるという小さな範囲ではなく、大人一人一人が自分の言動を振り返る必要があります。言葉が乱れているといわれている昨今ですが、マネの天才である子供たちは、大人の言葉の乱れも、しっかりと吸い取っています。
また、気をつけるのは、子供に向かって話すときだけではありません。たとえば、パパと言い合いになったりしたときに、ママがパパの言葉尻を掴むようなことを言ったり、パパがママをリスペクトせずに上から目線で話したり……。このような場面でも、子供はしっかりと吸収していきますので要注意です。
女の子の育て方の悩み2:友達関係が複雑
女の子の育て方が難しい理由の2つ目は、友達関係が複雑ということがあげられます。女の子の人間関係は、男の子よりも、小グループ化する傾向があります。2~4人くらいで仲良くなり、その中の絆を強めていくことが多いようです。幼稚園や小学校などの中でも、少数で遊んでいることが多いため、もし誰かが風邪でお休みしたり、ちょっとしたいざこざで仲がこじれたりすると、「幼稚園に行きたくない」「遊ぶ友だちがいない」とこぼすことに。人数が少ない分、一人一人が互いに及ぼす影響力が大きいともいえます。
小さいうちのケンカは次の日にはケロッとしていることがほとんどですが、年齢が上がるにつれ、それが仲間外れにつながることもありますので、もし「行きたくない」というようなことを言い出したら、「何言ってるの」と諭さずに、何がその言動の背後にあるのかを知ろうとする心がけも大切です。ママが一方的に、「大丈夫大丈夫」「ほら頑張って」と言ってしまうと、せっかく話そうとしていることも言えなくなってしまいます。話をしっかりと聞いてあげる時間を取るようにしましょう。
女の子の育て方の悩み3:陰口、悪口が多い
女の子の育て方が難しい理由の3つ目は、陰口や悪口が多いということがあげられます。男の子はすぐに手が出てしまうなど、体を使った攻撃性が悩みになりがちですが、女の子は、言語で攻撃をしがちです。男の子はフィジカルに攻めるのに対し、女の子はメンタルに攻める傾向があるともいえるでしょう。その典型例が、「陰口」です。小学校に上がって少しすると増えはじめ、ときに、その場にいない子の悪口を言うことで、そのグループ内の結束を高めたりすることさえあります。とくに「和」の意識が強い日本は、「みんな一緒」を好むため、そのグループに合わない行動や言動をされることを煙たがる傾向が高いようです。今は、LINEなどのSNS上で、ある一人の子を簡単にのけ者にすることができる時代ですので、その点からもこの陰口、悪口は、今の時代に非常に多い悩み、親としても特に気をつけていきたいポイントといえます。
もし自分の子が、陰口を言われている側になってしまった場合、その子は自分を「否定された」と感じているため、自ずと自己肯定感が下がってしまいます。よって、親としてまず心がけたいのは、その子の自己肯定感を下げない働きかけです。
陰口に対する怒り、悲しみも当然湧き上がりますが、まずはその子の心の声を聞いてあげることが大切です。そして、聞くときは、「どうして?」「何があったの?」のように次々と質問を投げかける「訊く」ではなく、心を傾けて「聴く」ことを意識してください。自分を肯定して見てくれているママの存在が、子供にとって大きな癒しになります。
女の子の育て方の悩み4:ママは反面教師のはずが……暗転
これまでの3つは、娘の行動や置かれた状況に悩むパターンでしたが、最後は、自分が娘にしていることに対し悩んでしまうパターンです。少し複雑なので、例を用いてお伝えしていきます。たとえば、
- 娘を叱ることに抵抗があり、つい甘やかしてしまうAさん
- 娘を威圧的に叱ってしまい、後で自己嫌悪に陥ってしまうBさん
「私は母の威圧的なところがイヤでたまらなかった。許せない!」のような心のわだかまりが、
- 叱ることに対し、強い抵抗感を引き起こしている状態(=Aさん)
- 結局は同じことを繰り返している自分に、強い自己嫌悪を感じている状態(=Bさん)
私が行っている育児相談でも、お嬢さんのことでご相談が始まったのに、よくよくお話を聞いてみると、ご自身のお母さまとの関係に悩みの根っこがあったということは少なくありません。
自分の母親を自分と重ね、さらには、自分の姿を娘に重ね、「私は○○されていやだった。だから自分は繰り返したくない」と反面教師になっているのにもかかわらず、結局は繰り返してしまった、同じ思いをさせているのではないか、と悩んでしまうパターンです。
なぜこれが「母・自分・娘」の間で起こりやすいのかというと、それはやはり同性だから。同じ女同士ゆえ、「投影」を起こしやすいのです。もちろん、この投影がポジティブなものであればOKなのですが、悪い方へと展開してしまうと、悩みの引き金になってしまいがち。自分とお母さまとの間の悩みを、今、娘に投影しているかもと感じたら、自分自身とお母さまとの関係を見直すことで、子育ての悩みまでもが解消されることがよくあります。
母娘の距離を上手に取ることで、いいアドバイスができる!
さて、女の子のママが子育てで抱えやすい悩みということで、4つお伝えしてきましたが、これらを読んで、「そうそう」「あるある」と感じた方も多いと思います。どの悩みを取り扱う上でも気をつけたいのが、同性であるがゆえの距離感です。女同士、分かる部分も多い一方、踏み込み過ぎてしまったり、過信し過ぎてしまったり、あとは自分の解釈を押しつけてしまったりして、悩みを余計に複雑にさせてしまうことがあるので、この点に気をつけていきましょう。よくあるのが、
- 「ママが子供の頃は、もっと〇〇できていたわよ」と自分はどうだったという点でアドバイスしてしまう
- 「私は寂しいと感じていたから、娘も寂しいと感じているに違いない」と自分の感情を娘に重ねてしまう
男の子のママは、「私とは違って当然」という目で、子供の行動、考え方を捉える傾向がありますが、女の子のママは同性という共通項があるゆえ、つい、「女だから分かっているはず」という目で見て、アドバイスをしてしまいがち。
これまでにご相談にのったケースでも、
- 自分と娘は立ち位置が違うということを意識する
- 娘の性格や特性を踏まえて、「この子にはどう見えているか」を理解しようとする
- 自分の母親とのわだかまりを見つめ直してみる
女の子のママだからこそ気にかけたい「母、自分、娘」の女つながり。やはり大切なのは、1人の人間として尊重すること。そうすることで、これまで以上にいい距離感が保てるようになるはずです。
【関連記事】