投信を買うときには純資産残高も判断材料にしよう
2013年12月末時点の数字で計算すると、4070本ある投資信託のうち、長期保有を前提にして購入できるファンドは、本当にわずかであることが分かりました。純資産残高の水準で、該当する本数がいくつかを調べてみたのが、以下の数字です。
・1000億円以上=116本
・100億円以上1000億円未満=652本
・30億円以上100億円未満=810本
・30億円未満=2492本
投資信託を長期保有する場合は、過去の運用実績もさることながら、純資産残高の水準には十分に注意しましょう。純資産残高があまりにも小さいと、繰上償還されるリスクが高まります。繰上償還されてしまったら、その時点で運用は打ち切りですから、長期保有したくでも出来ない、ということになります。
投資信託会社は、純資産残高に対する一定率を、運用管理費用として徴収し、これを投資信託会社、信託銀行、販売金融機関で分け合います。したがって、純資産残高があまりにも少なくなると、それぞれに落ちる収益も小さくなるため、運用・管理にかかる経費を賄い切れなくなるのです。
一般的に、繰上償還される目安は、純資産残高が30億円を割り込んだ水準と言われています。たとえば、年間の運用管理費用が1.5%で、これを下記のように分けるとしましょう。
・投資信託会社=0.7%
・受託銀行=0.7%
・販売金融機関=0.1%
もし純資産残高が30億円だとしたら、投資信託会社が得る運用管理費用は、2100万円。これでファンドの販売促進のための広告費用や、ファンドマネジャーおよびアナリストの給料、調査費用、さらにはバックオフィス部門の経費などを捻出しようとすると、赤字になってしまうというわけです。
投資信託会社からすれば、赤字を垂れ流したままの状態で経営を続けるわけにはいきません。したがって、赤字の原因となるファンドは繰上償還してしまうのです。
その純資産残高が30億円未満のファンドが、全体の半分以上を占めています。本数にすると2492本で、これは長期保有を前提にするならば、候補から外すべきでしょう。
また、30億円ギリギリのファンドも、いつ30億円を割り込むか分からないので、やはり購入対象外になります。では、どのくらいなら良いのかというと、100億円程度は欲しいところです。そこで、純資産残高が100億円以上のファンドが何本あるのかをカウントすると、768本です。
4070本というと、あまりにも数が多く、ファンド選びは困難と思い込んでしまいがちですが、このように純資産残高でバーを設け、それに達しないファンドは最初から購入しないことにすれば、購入対象となるファンドは、かなりの程度まで絞り込むことができます。