行政書士試験/行政書士のキャリア・開業

資格取得後の独立体験記 第22回「新規事業への道」(2ページ目)

新規事業を立ち上げるとなると、一般企業では、莫大な時間と費用がかかるはずです。大学院から戻ると、実務の世界は厳しさを増しており……。新規事業について検討することになりました。法律の世界の新規事業のお話です。

山本 直哉

執筆者:山本 直哉

行政書士ガイド


立法がつくりだす仕事

困ったときは歴史を紐解いてみることは問題解決の一つでしょう。そこで、行政書士業務の隆盛の歴史をさかのぼると、まずは、運転免許証や車庫証明。次に、建設業関係など。時代によって花形業務も変遷しました。

行政書士と言えば建設業。なぜ建設業関係の仕事が隆盛をきわめたかというと、それは建設業法により現在の許可制が実施されたからです。建設業法、つまり、法律による規制が仕事を作り出したのです。

では、立法に注目して新規事業を考えればよいのでしょうか。もちろん、これは一つの答えだと思います。しかし、時代の方向性はどうでしょう。新自由主義、小さい政府、規制緩和の方向性が変わるとは思えません。規制の強化により、新たに大きな仕事が生み出される可能性は低いと思うのです。

もちろん、規制緩和が仕事を生み出すことはあります。例えば、最近話題のクラブの深夜営業の解禁となれば、風俗営業の仕事は増えるでしょう。しかし、これは極めて限定的な地域に限られる仕事です。

いずれにせよ、かつての建設業法改正のように、全国津々浦々の行政書士が恩恵を受ける仕事を、法律がつくりだすことはないと思いました。

司法がつくりだす仕事

そこで、私が注目したのは、立法ではなく司法がつくりだす仕事です。現在の法律実務で起こっている過払金バブル(行政書士は全く恩恵を被ってはいませんが)は、最高裁の判決がきっかけでした。

ここで私の専門の一つであり、研究分野でもある家族法の分野について注目してみます。家族法について、立法府では保守勢力が頑張りを見せていますが、司法府が主導で改革の方向性を歩んでいるように思います。例えば、近時マスコミを賑わせた、非嫡出子の相続分の裁判などが代表例です。

これら司法の流れは、簡単に言えば、家族と言う団体像から、個人を中心にした家族像への変化です。団体の解体は、法律婚という夫婦自体にもこだわることもなくなっていくはずです。欧米のように、事実婚の増加へとつながっていき、また、同性婚という新たな家族像も生まれやすくなっていくでしょう。

夫婦財産契約から家族における契約という仕事へ

この流れに行政書士業務を重ねると、夫婦財産契約が重要性を増してくると思います。夫婦財産契約とは、婚前にする夫婦間の財産の取り決めです。しかし、法務省の統計によれば、夫婦財産契約は全国で年間10件くらいです。

まずは、その貴重な仕事の受任を目指しました。いろいろなところに声をかけ、ホームページも簡単に作成しました。その結果、ついに、1件の処理をすることができました。その年、日本で10件しかない申請のうち、1件を処理できたことは前進でした。

もちろん、これでは採算がとれません。夫婦財産契約は、次の一手の基礎固めに過ぎないと考えています。新規業務は、簡単に言えば、司法の動向に沿った家族における契約業務です。様々な方向性があり、少しずつ進めているので、成果が出たらまたご報告をしたいと思います。
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