HONDA(ホンダ)/ホンダの車種情報・試乗レビュー

フィット譲りの完成度の高さが光るホンダ・ヴェゼル(2ページ目)

「新時代のスペシャリティカー」を目指したというホンダ・ヴェゼル。ホンダのスペシャリティカーといえばプレリュードを思い出すかも知れないが、雰囲気重視のSUVではなく、しっかり作り込まれている。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド

後席の広さは家族ユースでも十分に対応

ホンダ・ヴェゼル・インパネ

ピアノブラック調のセンターコンソールが目を引く。電子制御式のパーキングブレーキをこのクラスでは初採用している

まず、驚かされるのが後席の広さだ。全長と全高がジュークよりも長いとはいえ、1.5倍くらいの広さ感がある。身長175cmくらいの人が4人乗っても閉塞感を抱かないほどの室内の広さで、フィット同様に後席の座面を跳ね上げられるから、ベビーカーや観葉植物などを積載したり、アウトドアの際に着替えたりする際にも重宝しそうだ。

後席座面を前倒しすればMTBが積めて、助手席の背もたれも寝かせればサーフボードなどの長尺物も入る。

もうひとつのウリであるハイブリッドの設定もライバルにはない魅力。今回試乗したハイブリッドの27.0km/LのJC08モード燃費はクラストップで、実燃費でも6割も走ってくれれば御の字のはず。今回の試乗では、とくにエコランに徹しなくても燃費計は17~20km/Lを指すことが多かった。

高速道路ではハイブリッドの燃費の威力は半減してしまうが、普段は街中や郊外路中心、オフにレジャーなどで高速を長く使うというのであれば十分に満足できるのではないだろうか。

エコランも、飛ばしても良しの走り

ホンダ・ヴェゼルハイブリッド・エンジン

1.5Lの直噴エンジンと1モーターによるハイブリッドは、2.0L級エンジンに匹敵する152psのシステム最高出力が自慢

ホンダ車お馴染みのECONスイッチをオンにしたままだと、とくに速さは感じさせず、街中や高速道路でも流れに乗るのに不足はないという程度だが、山道や追い越し車線などでの加速時にはECONスイッチをオフにしてしまえば大半のシーンでこと足りてしまう。

さらに、「スポーツ」モードに切り替えるとメーターがレッドに変わり、アイドリングストップもオフになるが、高回転に張り付き、スポーティカーといえる走りを披露してくれる。タウンユースでは必要性は感じないが、イザという時に速く走れて、走りも楽しめるのはいかにもホンダらしい。

振動感応型ダンパーを採用するが乗り心地は硬め

ホンダ・ヴェゼル・フロントシート

やや高めの着座位置で見晴らしがよく、ややワイドな全幅であるが取り回しは比較的しやすい。シートサイズは十分に大きいが、ランバーサポート性はほとんど感じられないので腰痛持ちの長時間ドライブは辛い

良くも悪くもかなり引き締まった乗り心地もホンダらしい。とくに、後席の突き上げはかなり大きく、路面状態が悪いと上下だけでなく、横方向にも身体を揺すられる。高速道路やワインディングなどで飛ばすと、頼りに感じられるハンドリングではあるが、最も走行シーンの多いはずの街中での乗り味はもう少しマイルドでもいいと思う。

ヴェゼルにはフィットにはない「振動感応型ダンパー」がフロントに採用されている。乗り心地と操縦安定性の両立がウリだが、全長が短いジュークよりも乗り心地が悪く感じてしまうシーンもあり、長時間後席に乗るのは辛く感じた。操縦安定性はかなりハイレベルなだけに、乗り心地は改善が必要だろう。

総合力ではホンダ・ヴェゼル

ホンダ・ヴェゼル・リヤシート

大人でも十分に実用になるシートサイズと、フットスペース、ヘッドクリアランスを確保する。座面はフィットと同様に引き上げることが可能だ
 

長所も短所も分かりやすいホンダ・ヴェゼルだが、クーペ風のデザインでスマートでありながら広大な後席や使いやすい荷室などを備えており、ホンダのいくつかの先達SUVのように消えていってしまうようには到底思えない。
ホンダ・ヴェゼル・ラゲッジ

後席の背もたれを前倒しすればフラットで広々した荷室が出現する。全長を考えると荷室も十分な広さだ

ハイブリッドの燃費や後席、荷室の使い勝手を考えると、輸入車勢も含めて増えつつあるコンパクトSUVの中でも総合力ではかなり高いのがヴェゼルといえる。

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