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佐村河内問題に考える、「ゴースト」の歴史と存在意義

ソチの熱狂に負けず劣らず、日本中を騒がせている佐村河内問題。ネット上でもさまざまな切り口の解説や反応が見受けられますが、ここではゴーストライターに絞って、考えてみたいと思います。

広川 峯啓

執筆者:広川 峯啓

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ソチにまさる勢い

ソチフィーバーに紛れて謝罪FAXを流せば(それも生中継中の深夜に!)、どさくさに紛れて収束するのではと、当人は考えたのかもしれません。ところがどっこい、スポーツ記事に押されて暇にしてた(?)芸能マスコミが飛びつき、火に油を注ぐ結果となりました。

たちまち話題は、佐村河内氏の聴力にスライドしてしまいましたが、事の発端となったゴーストライターの件も、忘れる訳にはいきません。ところがなぜかこのテーマになると、マスコミおよび、ネットニュースを見渡しても、トンチンカンなものが目立ちます。

「芸能界でゴーストは当たり前」といったコメントや、数十年前の松本伊代の面白エピソードを引き合いに出したり(古傷をさわるなよ!)。極端なものになると「あのお笑い芸人のネタは全部ゴーストが書いている」なんてトンデモ意見までありました。それって、座付き作家っていうれっきとした職業なんですけど……。

なぜ、これほどピントの外れた意見が多いのかという謎も含め、ゴーストライターという存在について、いろいろと考えていきます。そのうえで、佐村河内氏が行った一連の行為について見解を述べさせていただこうかと。

「ゴースト」って本当に悪いことなの?

そもそも言葉の響きが悪いんだと思うんですよ。直訳すると幽霊作家ですから、不気味な雰囲気醸し出してるじゃないですか。でもまともに訳せば「代作者」。ネガティブな意味は特にありません。それもそのはず、代作自体は大古の昔から行われてきました。

平安貴族、いや大和の時代からかもしれませんが、高貴で雅な方々は歌を詠むことがたしなみのひとつでした。とはいえ誰もが自在に歌を詠める訳でもなく、代作を受け持つ人が普通に存在してたそうです。

あの「土佐日記」の紀貫之も、やんごとない方々の代作をやっていたとか。いまとなってはゴーストライターの方が超有名人な訳ですが(笑)。こうした風習は脈々と受け継がれているようです。
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