一言で言うと「妙な番組」

やっぱり猫が好き2005
ここでは、タイトルどおり、お笑い、バラエティ番組について書かせてもらってます。でも番組の中には、ドラマとバラエティの境界線上にあるものもある訳です。

その代表的な作品が、今回取り上げる「やっぱり猫が好き」でしょう。1988年の10月から、深夜0時代の30分番組としてフジテレビ系でスタートしたこの番組。今でこそ深夜に連続ドラマが放送されることも珍しくありませんが、当時としてはかなり斬新な試みだったと言えるでしょう。

ただ、番組を制作したイーストも、台本を書いてきた作家の方も、おもにバラエティが専門ということもあり、当初から普通のドラマとは一味も二味も違っています。いちばんの違いは、面白い場面でスタッフの笑い声が聞こえることでした。

海外には古くから「奥様は魔女」「アイ・ラブ・ルーシー」などコメディ・ドラマ(シットコムと呼びます)の伝統があり、また日本でも「てなもんや三度笠」などの公開コメディが人気でした。しかし「猫が好き」には、そのどれとも違う不思議な魅力がありました。

レギュラー放送は、1991年9月に終了しましたが、その後もSP番組として不定期に放映され、つい先日も、なぜか「時代劇版」がオンエアされたところ。そのほとんどはDVDに収録され、現在も変わらぬ人気を得ています。ここでは、お笑い、バラエティ番組ガイドとしての視点から、この作品に注目してみたいと思います。

ありそうで無さそうなホームコメディ



ご存知の方も多いでしょうが、まずはストーリーの紹介から。舞台は恩田家の一室、登場するのは長女・かや乃(もたいまさこ)、次女・レイ子(室井滋)、三女・きみえ(小林聡美)三姉妹と飼い猫1匹。基本的には、終始この3人のみで、毎回ストーリーが展開していきます。

通常のドラマというのは、コメディ、シリアスにかかわらず、何らかのテーマ性というものがあるようですが、この作品には見事なまでにテーマがありません。姉妹の情愛とか、家族の大切さとか、そんな壮大なテーマ、一度も描かれたことありません。

あえて似たものを探すとすると「サザエさん」でしょうか。それも日曜夜の定番ファミリー・アニメではなく、長谷川町子が数十年に渡って描いてきた4コマ漫画版の方。

毎回、アットホームな暖かさを描いてきたアニメ版と違い、原作は笑いを生み出すことだけに専念しています。ちなみに、現在、朝日新聞に連載されている、いしいひさいち作の「ののちゃん」は、かなり「サザエさん」に近いものがあります。

コメディの中にも人情味をまぶすのが当たり前の日本で、この2作はかなり異色な作品です。どちらも決して「仲良し」というわけではないのに、そうは見えないのは、一貫して変わらない家族像を描き続けてきたからかもしれません。

と、脱線しかけたので、次ページで軌道修正