遊びの中で育つ子どもを描く『ダンプえんちょうやっつけた』
裸足にパンツ一丁で、チャンバラごっこを始める子どもたち……そんなお話は、お好みではありませんか? 自由に逞しく遊ぶ保育園の子どもたちと、それを見守るダンプ園長の物語は、今の時代ではとても考えられないほどやんちゃな子どもたちを描いて、小さな読者をワクワクさせます。動き、遊び、冒険して、ちょっと成長する主人公たちの気持ちが、こちらにも伝染して、読み終えると、心から満ちたりた気持ちになる絵本『ダンプえんちょうやっつけた』をご紹介します。弱虫さくらちゃん、「こわいこと」をするのは面白いと知る
わらしこ保育園のダンプ園長は、いつも全力で子どもたちと遊びます。だから、何をやっても、子どもたちはダンプ園長にかないません。年長のくじらぐみの子どもたちは、いつかダンプ園長を負かしてやろうと狙っているのです。ある日、出かけたひなたやまで、ダンプ園長を倒すチャンスが巡ってきました。園長対子どもたちで海賊ごっこをすることになったのです。いつもは弱虫なさくらちゃんも、勇気を出して、海賊として大活躍! さて、この勝負、いったいどちらが勝ったのでしょうか……。
さくらちゃんは、こわいことが嫌いで、神社の石段すべりも、木のつるのブランコも決してやろうとはしません。さくらちゃんは、失敗することがこわいのかもしれませんね。でも、ダンプ園長はいつだって、さくらちゃんが嫌がることを「やってみろ」とは言いません。だから、さくらちゃんが海賊になったのも、自分で決めたこと。友だちとの遊びの中で考えて、行動して、勇気を出して、一人前の海賊になっていったのです。
たった1日だけの海賊ごっこですが、さくらちゃんは、お友だちとの遊びの中で確かに成長しました。「失敗を恐れず、やってみること」を自ら選んだのですから。さくらちゃんは、言います。「こわいことやるの おもしろいって、わたし わかったんだもーん」。海賊ごっこの勝負の行方は伏せておきますが、さくらちゃんの成長は、子どもに無理強いせず、子どもが自ら成長していくのを見守る園長先生の勝利といっていいですね。さくらちゃんのこの言葉を聞いたダンプ園長は、きっとニッコリ笑っていることでしょう。子どもは遊びの中で成長するということが、実感できる絵本です。
【書籍DATA】
ふるたたるひ/たばたせいいち:作
価格:1470円
出版社:童心社
推奨年齢:4歳くらいから
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