はりきって出かけるのに 『いつもちこくのおとこのこ』
「早く起きなさい! 学校に遅刻するわよ。」そんな風に毎日起こされている子はいませんか? 『いつもちこくのおとこのこ』の主人公は、題名の通り、来る日も来る日も、遅刻を繰り返しています。でも、決してお寝坊さんではありません。今日も、はりきって学校へ出発しました。それなのに、毎日遅刻ばかりだなんて、いったいどんな男の子なのでしょうか?彼の名は、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー
その子は、勉強が大好きなのです。だから、いつだって勉強をしに、てくてく出かけていくのです。その子の名前は、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー。まあ、なんて長い名前なのでしょう! でも、お話の中に何度も出てきますから、きっと覚えられますよ。さて、その遅刻の常習犯・ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーですが、毎朝早くに出かけるのに遅刻するのには、色々と事情があるのです。ある時は、ワニが彼のカバンを奪おうとし、ある時はライオンにズボンを破られ、またある時は高波にさらわれそうになったり。
ところが、ジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーの先生ときたら、彼の言うことを全く信じてくれません。そればかりか、いつも彼に遅刻の罰を課すのです。確かにありえないことばかりが起こるのですから、先生の気持ちもわからなくはないのですが…… そんなある日、今度は先生の身にとんでもないことが起こります!
ジョン・バーニンガムの絵本は、いつだって子どもたちの味方です。遅刻はしたくないけれど、それ以上に毎日ワクワクするような出来事を望んでいる。そんな子どもの気持ちを代弁するかのように、一生に一度あるかないかのようなとんでもない事件が、毎日連続して起こっていくこの本の楽しさは、ジョン・バーニンガムならではの筋立てで、小さな読者を夢中にします。加えて、先生を襲うアクシデントと、その時のジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーの対応に、読者たちの拍手喝さいが聞こえてきそうです。
最初から最後まで、子どもたちの目線で作られた絵本は、見返しだって見逃せません。子どもたちが絵本を読んでもらった後、表と裏の見返しを見たら、遅刻には気を付けようと思うかもしれません。そんな、くすっと笑える仕掛けがさりげなく用意されています。その見返しを見ていると、幾多のアクシデントを乗り越えて、勉強をしに行くジョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシーへ、心からの声援をおくりたくなります。
【書籍DATA】
ジョン・バーニンガム:作 たにかわしゅんたろう:訳
価格:1575円
出版社:あかね書房
推奨年齢:5歳くらいから
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