ニオイの発生源は「アポクリン腺」
体臭に悩んでいるという男性は多いと思いますが、特に汗をかくと気になるのが脇のニオイです。なぜ脇の下は臭うのでしょうか?それは汗腺が脇の下に集中しているからです。汗腺には、普通の汗を出すエクリン腺(小汗腺)と性的フェロモンを出すアポクリン腺(大汗腺)の2種類があります。なお、このアポクリン腺は脇の下だけでなく、耳の中や乳輪、陰部にも集中しています。
アポクリン腺の発達は欧米人に多くみられ、東洋人には少ないといわれますが、同時に個人差も大きいといわれます。そして、体臭の発生源になりやすいのが、このアポクリン腺なのです。
「良い体臭」と「悪い体臭」がある
ただし、アポクリン腺は必ずしも悪いものではありません。そもそも体臭には「良い体臭」と「悪い体臭」があります。アポクリン腺は性腺ともいわれ、もともとは異性を引き寄せる「良いニオイ」です。アポクリン腺の分泌物そのものはそれほど嫌なニオイではなく、むしろ性刺激をする作用があるとされています。香水のような良いニオイとは異なりますが、本能の奥底に響く「良い体臭」とされているのです。
「良い体臭」の代表がフェロモンで、これは外分泌生理活性物質ともいわれ、ホルモン同様に様々な生理活性を引き起こします。昆虫や動物はフェロモンを使って個体間のコミュニケーションを行っており、代表的なものに、異性同士を引き寄せる「性フェロモン」、集団形成を促す「集合フェロモン」、外敵を遠ざける「忌避フェロモン」があります。
性フェロモンで特に有名なのがジャコウネコが発するフェロモン「シベトン」で、このままでは排泄物のようなニオイですが、薄くして香水にブレンドすると、魅惑的で奥深い高級香水ができます。同様に人間にもフェロモンがあり、アポクリン腺の分泌液は、ジャコウネコにおけるシベトンに対応するものと考えらえています。
ところが、この分泌物がエクリン腺からの汗や、皮脂腺から分泌された皮脂と混合され、皮膚の常在菌によって分解されると「悪い体臭」に変化してしまいます。
鼻は二つある?ニオイを感じるメカニズム
ところで、ニオイというものはどのように感じるかご存知でしょうか? 「実は人間には鼻が二つある」といったら、驚く人も多いと思います。鼻に入ったニオイ原因物質は鼻腔の粘膜でキャッチされますが、鼻の中には鋤鼻(ジョビ)器官といわれる「第二の鼻(ヤコブソン器官)」があるのが解っています。 フェロモンなどはこの両方の器官にキャッチされます。両方の器官から出たシグナルは、嗅球、副嗅球を経て大脳辺縁系という古い皮質に伝達され、そのあと視床下部、下垂体を経て大脳新皮質に伝えらえます。大脳辺縁系は爬虫類の脳とも呼ばれ、食欲や性欲などの本能に基づく行動や、喜怒哀楽などの情緒行動を支配し、自律神経系にも大きな影響を与えます。ニオイが食欲や性欲などの本能、様々な情緒にダイレクトに影響するのはこのためなのです。
ニオイをコントロールして魅力アップ!
フェロモンのような「良い体臭」が「悪い体臭」になってしまう原因は、分泌物そのものに悪臭がある場合もありますし、前述した通り、分泌物が皮膚の常在菌によって分解されて、悪臭を発生させる場合もあります。アポクリン腺の他にも、加齢臭の原因物質であるノネナールの元となるヘキサデセン酸を分泌する皮脂腺というものもあり、社会生活の変化、食生活の変化で皮脂の分泌量が増え、体臭が発生しやすい体になっているともいわれます。
こうした分泌物は正しい生活習慣や食習慣を身に付けることでコントロールすることができます。また、加齢は避けられませんが、生活習慣の改善によって肉体年齢を下げることで「悪い体臭」を避けることは可能です。
動物性脂肪が多く含まれるインスタント食品や菓子類を控える、酒、タバコ、香辛料を控える、食物繊維の多い野菜をとり消化と排泄をスムーズにする、ストレスを溜めないなど、体臭予防は日々の積み重ねが大切です。
しっかりと入浴して皮膚常在菌をコントロール
こまめなシャワーで皮膚常在菌のコントロールも重要
これらをサポートするものとしては、殺菌作用があるとされるミョウバン(ミョウバン石)や柿渋、制汗作用があるとされる酸化亜鉛(ベビーパウダー)や酸化アルミニウム、殺菌作用があるとされる塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノールや銀、吸着作用のある炭やポリフェノール類などを配合した製品があります。制汗剤の「Ban」などは酸化亜鉛をナノイオンとして利用した製品です。
体臭は誰にでもありますが、コントロールの仕方次第で、「良い体臭」がする魅力的な大人になることが可能です。体臭を一方的に悪者にするよりも、それを味方にして自分の魅力を高めるという発想もあっても良いのではないでしょうか。
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