なぜ納豆は平気でも、豆乳でアレルギー症状が起きるの?
花粉症との関係についてですが、シラカンバ、ハンノキなどのカバノキ科の植物の花粉には、PR-10というアレルゲンタンパクが含まれています。このPR-10 と似たアレルゲンが大豆にも含まれているため(大豆の アレルゲンタンパクは「Glym4」)に、カバノキ科の花粉症患者の中には、豆乳等を飲んだ時にアレルギーを発症するケースが見られるのです。Glym4 は加熱や発酵など加工処理をすることで、アレルギー症状が出にくくなります。味噌や醤油、納豆などの加工製品よりも、加工の程度が低い豆乳ではアレルギー症状が起こりやすくなります。
また豆乳が液体というのもアレルギー症状が起こりやすいと考えられています。というのは、豆腐は苦汁等で凝固されているため、口腔粘膜からのタンパクの吸収が悪いため発症しにくいと考えられています。
凝固が弱いおぼろ豆腐などででは豆乳と同程度のGlym4 を含むという報告があり、重篤な患者の場合は、豆乳だけでなく、豆腐や、またもやしや枝豆でも症状が出ることもあるそうです。
花粉症の人は果物アレルギーにもご注意を!
シラカンバの花粉症の人は、バラ科の果物には注意が必要です。
*(日本醸造協会誌2011.10、その他を参考)シラカンバの花粉症と関連が知られている食物
リンゴ、サクランボ、モモ、アンズ、プラム、洋ナシ、ナシ、イチゴ、ウメ、ビワ(以上バラ科)、キウイ、
ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、アーモンド、クルミ、
セロリ、ニンジン、ジャガイモ、ウイキョウ
複雑な食物アレルギーの原因
クラス2は、クラス1とは異なるため、大豆をたくさん食べ続けたから発症するというものではありません。また花粉症がある方でも、スギ花粉で大豆アレルギーになることはありません。ただし、カバノキ科花粉は春に飛散する花粉で、スギ花粉の飛散時期とも重なるので、その判別には医療機関で血液検査などが必要です。花粉の原因となるシラカンバは、日本では北海道・本州中部以北の寒冷地にしかなく、北海道ではその花粉症と豆乳によるアレルギーの告知も多くされていますが、全国的にはまだまだよく知られていません。またハンノキは日本各地に分布しています。
またクラス2食物アレルギーは、新しいタイプであり、まだまだ認知されいません。シラカンバやハンノキ属以外でも、ヨモギやカモガヤの花粉症なども食物アレルギーと関係するといわれています。
このように、食物アレルギーの分野では、食物アレルギーの原因の特定や治療がより複雑になってきています。食品業界に対して、豆乳等の商品に注意表示を広げるように要望されていますが、私たち生活者も、特に花粉症や果物による口腔アレルギーがある人は注意したいものです。
関連リンク/
花粉症と果物アレルギーの関係!
参考/
・国民生活センター
・大豆アレルギーの多様性と味噌の低アレルゲン性の検証(日本醸造協会誌2011.10)
・アナフィラキシー症状を呈した豆乳による口腔アレルギー症候群の一例(耳鼻免疫アレルギー(JJIAO) 31(4): 253―256, 2013)JIAO
・食物アレルギーの現状(多様化と交差問題)と今後の対(食品分析開発センター)
その他