米国テーパリング→新興国危機という構図
アルゼンチンやトルコで通貨が大きく下げています。これは、米国で始まったテーパリングの影響を受けています。テーパリングとは、米国の中央銀行であるFRBが景気回復のための続けてきた資産買取を縮小していくという政策です。米国では弱った経済を立て直すために、金融市場にFRBが2008年から資金を供給してきました。その効果も有って米国経済は復活しつつあります。それでは、もう資産買取のような緊急措置は減らしていこうという状況です。これは、正常化であり、とても良いことです。
一方で、リーマンショック以降に世界を支えたのは新興国経済でした。ですから、世界の投資マネーも新興国に流れ込んでいました。しかし、米国経済が良くなってくればドル金利も上がるだろうということで、新興国に投資していた資金を今度は米国に振り向けようという流れに変わります。そこで、新興国から資金流出が起こります。通貨の売りが増えれば、通貨は下がります。
2014年1月の米ドルに対する下落率ですが、アルゼンチンペソはマイナス22%、トルコリラはマイナス5.19%、南アフリカランドはマイナス7.37%(インドネシアルピーはほぼ変わらず)。
意外にも株式市場は小じっかり
そんな動揺から、世界中にパニックが起きていると思う人もいるかもしれません。確かに、1997年には新興国通貨の暴落から金融危機が起こりました。タイを震源地として、韓国、インドネシアを巻き込み、1998年のロシア財政危機や1999年のブラジル通貨危機を招きました。が、今回の株式市場は概して平静です。1月中の各株式市場の騰落率は、ニューヨークダウでマイナス4.9%、南アフリカでマイナス3.24%、トルコでマイナス7.7%と大した下げではありません。むしろ、上がっている国もあります。アルゼンチンでプラス13.12%、インドネシアでプラス2.1%という上昇なのです。
新興通貨は試練を迎えているけれど、株式市場は落ち着いています。それは、なぜかというと…
新興国通貨が売り浴びせられると為替レートが下がります。すると、新興国の輸出企業は採算が改善します。輸出が増える可能性もあります。輸出企業は利益が増えます。当然に株価は上がります。だから、株式市場は小じっかりしているのです。長期的に見れば、通貨安は次の成長の肥やしになりえます。
私たちも、同じ体験をしてきました。2012年からの日本株の急騰は、円安に促されたものであったではないですか。ドル円が20%も円安になって、日経平均は60%も上昇したのです。通貨安の要因だけではありませんが、円安がもたらし復興といえます。
同様のことが、今後のアルゼンチンやトルコ、南アフリカ、インドネシアで起きると考えることはできます。
それでも期待したい新興国の未来
世界を見渡してみれば、株価が大きく下がったのは、実は日本でした。日経平均株価は4週連続で下落して、ひと月の下げ幅は1,376円(9%)に及び、5年3ヶ月ぶりの大きさでした。なぜ、日本市場だけが大きく下げたのかの考察は後日にするとして、今日申し上げたいのは、新興国通貨の混乱が、株価の暴落には直結しないという現実があることです。ひるまず、おびえずに、国際分散投資を継続していってください。
将来の世界経済を支えるのは、新興国であることには、変わりがありません。