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幼少期の思い出を良いものに……3歳までの記憶を忘れずに残すコツ

子どもはスポンジのように色々なものを吸収していくと言われています。その吸収力はうらやましいほど。でも一方で、幼少期の思い出は忘れるのも早いなぁと思うことはありませんか? 子ども時代の記憶の不思議について、アメリカの研究を交えてお伝えしていきます。

佐藤 めぐみ

執筆者:佐藤 めぐみ

子育てガイド

<目次>

幼少期の思い出を残すコツ! 幼児健忘症という現象がある

幼少期の思い出を残すコツ

幼少期の思い出を残すコツ

遊園地でのメリーゴーランドデビュー、はじめての新幹線、お友達を呼んでのお誕生会、どれも親にとっては忘れられない思い出です。これらの良い思い出をいつまでも子供達と共有したい、と親ならだれもが思うもの。

でも、自分を振り返ると、3歳前の記憶はほとんどないことに気づきます。そして、「きっとこの子も、3歳くらいまでの出来事は忘れてしまうんだろうなぁ」と寂しくなることってありませんか?

この小さい頃の思い出が消えていく現象は「幼児健忘症」と呼ばれるもの。「健忘症」と言ってもネガティブな意味ではなく、人間のごく自然な発達の一部。

とはいえ、3歳まで「記憶」が存在しないわけではありません。現に、3歳になる前の子が、「○○に行って楽しかった。また行きたい~!」とせがむことはよくありますよね。記憶があるからこそ「また行きたい」になるのです。ただ、3歳までの記憶は、のちに忘却されていってしまうとされています。

この記憶の忘却、なんとか食い止めることはできないのでしょうか?

アメリカの大学が行った調査で、その忘却を食い止める助けになるのではというデータが見出されましたので、それをここでご紹介したいと思います。
 

アメリカの大学の研究で分かった子供の記憶が薄れる年齢

この研究は、3歳の子を持つママを対象に行われました。まず、子供が3歳の時点で、6つの過去の出来事をピックアップ。そして、子供とその思い出について話をしてもらいました。例えば、動物園に行ったこと、保育園、幼稚園の初日のこと、など。

その後、9歳になるまでのある時点で、それら6つの出来事の記憶がどれくらい残っているかをチェックしました。ある子は5歳のとき、ある子は6歳のとき、ある子は7歳のとき……とグループに分け、子供達の記憶の残り方をモニターしました。

その結果分かったのが、3歳のときに話題にした出来事について、
  • 5~7歳の時点では、60%以上のことを記憶していた
  • 8~9歳の時点では、40%以下にまで記憶が下がっていた
つまり、7歳~8歳までの間にガクンと記憶が薄れることが分かったのです。


*出典: イギリスの学術誌 Memory (2013)「The onset of childhood amnesia in childhood: A prospective investigation of the course and determinants of forgetting of early-life」より
 

子供の記憶を留めるものとは?

楽しかった思い出はいつまでも残したい

楽しかった思い出はいつまでも残したい

このデータを一見すると、7~8歳で多くの記憶が失われてしまうというところに目が行きがちですが、別の見方をすると、9歳の時点で、3歳までの記憶を4割も覚えている子供達がいることも見逃せないポイントです。

この研究のもう1つの大事な発見はそれに関する部分。細かなことまできちんと思い出せた子は、3歳の時点でのママとの会話に、ある特徴があることが分かったのです。

その特徴とは、ママが子供に質問を振ったどうか。「もっと聞かせて」「何があったんだっけ?」のような質問を振られた子は、のちにより多くのことを覚えている傾向があることが分かりました。
 

良い思い出をピックアップし、トライしてみよう!

これは、良い思い出をその後も子供達と共有したいママにとっては、活用度大のデータですね。

「もっと聞かせて」「何があったんだっけ?」と聞かれると、自ずと子供はその出来事について話すことになります。ママがメインで話すのではなく、子供に話させるというのが記憶を深めるポイントなのかもしれません。

3歳という時期は、まだおしゃべりが始まって間もない頃。そんなときも、ママがしっかりと聞き役になって、楽しい思い出を子供の口から話させてあげると、のちにその子の記憶として残ってくれる可能性が期待できそうです。

物は試し、共有したい大切な思い出をピックアップし、この実験のようにトライしてみてはいかがでしょうか?

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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