社会保険/社会保険の基礎知識

退職者へ的確に説明したい!その後の公的年金(3ページ目)

公的年金加入は長丁場。一定条件のもと、退職後も加入義務が生じます。今回は企業の実務担当者として把握しておきたい「退職後の公的年金」に焦点を当てました。即転職先が決まっている退職者ばかりとは限りません。退職者にその後の道筋を適切に説明することは実務担当者の責務と言えるのでしょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド


国民年金の第3号被保険者となる

第3号被保険者は配偶者の勤め先を経由して手続きをします

第3号被保険者は配偶者の勤め先を経由して手続きをします

退職後、厚生年金保険や共済組合に加入している被保険者(65歳以上70歳未満で老齢または退職を理由とする年金の受給権を有する人は除く)に扶養される配偶者となる場合には、20歳以上60歳未満の間、国民年金の第3号被保険者 となります。退職後、専業主婦になる場合などが典型例です。

1.加入の手続き
  •  手続き先      
    配偶者の勤務している事業所の所在地を管轄する年金事務所
  •  手続き書類      国民年金第3号被保険者関係届書(資格取得届)
  •  手続き添付書類
    収入確認のための書類(非課税証明書など)、年金手帳または基礎年金番号通知書(以上は、事業主の証明、確認により添付が省略できます)
  •  手続き期限      被扶養者(扶養される者)に該当した日から 14 日以内
  •  手続き者        本人(配偶者が勤務する事業主を経由) 
この第3号被保険者の届出は健康保険の被扶養者手続きと同時に行います。

2.保険料
保険料の負担はありません。第3号被保険者の保険料は配偶者が加入している厚生年金保険や共済組合から拠出されることになっているためです。

3.第3被保険者になるための認定条件
第3被保険者になるには、被保険者(扶養する者)によって生計が維持されていることが条件。 第3号被保険者として認定されるための条件は次で確認してください。

・年収が130万円未満であること
認定対象者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の年収の半分未満であれば、原則として第3号 被保険者になります。また認定対象者の年収が被保険者の半分以上であっても、130 万円未満である場合は、被保険者 の収入によって生計を維持していると認められれば第3号被保険者となります。

別居の場合は援助額で判断する
被保険者と別居している場合には、年収が 130 万円未満で、かつ被保険者からの援助額より少ないときに第3号被保険者となります。(認定定対象者がおおむね障害厚生年金を受けることのできる程度の障害がある場合には、年収の認定基準は、180 万円未満」なります)

国民年金に任意加入する

退職者の中には、60 歳以上で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や受給資格期間は満たしていても、保険料納付月数が少なく満額(40 年間保険料納付分)の老齢基礎年金が受けられない者がいるかもしれませんね。その場合には、65 歳になるまで国民年金に任意加入することができます。任意加入で不足期間を満たせたり、年金額を増やすことができるのです。

【特例任意加入】
さらに特例措置として、昭和 40 年 4 月 1 日以前に生まれた者で老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない方は、70 歳 になるまでの間、受給資格期間を満たすまで任意加入(特例任意加入)することもできます。

【海外在住者の任意加入】
また、日本に国籍がある 20 歳以上 65 歳未満の海外在住者も任意加入することができます。

なお老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている方は、任意加入することはできませんので注意してください。

1.加入の手続き
  •  手続き先       住所地の市区役所または町村役場
  •  手続き添付書類 年金手帳または基礎年金番号通知書
  •  手続き者       本人(海外在住者は国内在住の協力者でも可)
2.保険料
国民年金の第1号被保険者と同じ、月額 1万5040円(平成25年度)。
保険料額は年度によって変動します。但し保険料の免除制度はありません。また上記記載の65歳以上の特例任意加入には付加保険料はありません。

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退職者へ的確に説明したいその後の医療保険
従業員退職時の社会保険手続き

<関連資料>
退職後の年金手続きガイド(日本年金機構)
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