理学療法士/理学療法士試験の問題傾向と対策

理学療法士(PT)試験(ADL)の問題傾向

ADL(日常生活動作)の自立は、リハビリテーション概念においてQOL(生活の質)の向上と共に最も重要な目的となります。これを理解せずにリハビリテーションに関わる事は大問題。しっかり復習しましょう。

野田 卓也

執筆者:野田 卓也

理学療法士試験ガイド

ADLの問題傾向

ADLの問題は、各教科や各疾患ごとに出題されています。その為、トータルでの出題数は最も多い教科かもしれません。ここで述べるADLの問題傾向は主にADL評価やICIDH(国際障害分類)、ICF(国際生活機能分類)が主になります。これらは毎年出題されていますが、近年はICIDH(国際障害分類)よりも、肯定的因子を重視するICF(国際生活機能分類)の概念が主であり、出題傾向にも顕著に表れています。また、ADL評価スケールは、できることを評価する Barthel Index より、実際にしている事を評価する FIM が現場では重視されていますが、国家試験出題比率は同じぐらいです。その他、より高次の生活能力の評価をする評価法が近年の出題傾向としてみられます。

ADLの過去問題と解答

過去問題 第50回(2015年)
FIMのトイレ動作で評価される項目はどれか。2つ選べ。
  1. トイレに近づく。
  2. 便器に移乗する。
  3. 服を下げる。
  4. 拭く。
  5. トイレのドアを閉める。

この問題の答えは【3,4】になります。できる動作を評価するBarthelindexに比べ、実際にしている動作を評価するFIM。近年は圧倒的にFIMが重視され出題数の割合も増えています。問題で問われているトイレに関する生活動作はすべて重要な動作ですが、FIMという評価の中では、1は移動動作、2はトイレ移乗、5はFIMに含まれません。

過去問題 第50回(2015年)
国際生活機能分類(ICF)における第1レベルまでの分類で環境因子はどれか。2つ選べ。
  1. 態 度
  2. 対人関係
  3. 家庭生活
  4. 支援と関係
  5. コミュニティライフ・社会生活・市民生活

この問題の答えは【1,4】になります。国際生活機能分類(ICF)における第1レベルまでの分類は以下の4つになります。
  • 心身機能
  • 身体構造
  • 活動と参加
  • 環境因子
この問題では環境因子に当てはまる項目を選択しますが、1の態度、4の支援と関係のほかに、生産品と用具、自然環境と人間がもたらした環境変化、サービス・制度・政策があります。なお、その他の選択肢は、活動と参加に含まれます。

過去問題 第49回(2014年)

PEDI(pediaric evaluation of disability inventory)で誤っているのはどれか。
  1. 4カ月児から評価の対象になる。
  2. 補助具の使用状況を評価できる。
  3. 正常発達からの偏差を評価できる。
  4. 特定の事ができる能力を評価する。
  5. 介護者による援助の状況を評価できる。

この問題の答えは【1】になります。PEDIは、6カ月から7歳半程までの子どもを対象にした、包括的な臨床評価尺度です。内容としてはセルフケア、移動、社会的機能の3つに分類されています。1.の選択肢以外は、すべてこの評価尺度に含まれるものになります。

過去問題 第48回(2013年)
Barthel Indexで「自立」の判定基準に含まれている全ての活動を自立して行えれば10点と判定されるのはどれか。2つ選べ。
  1. 食 事
  2. 整 容
  3. 平地歩行
  4. トイレ動作
  5. 車椅子とベッドの移乗

この問題の答えは【1,4】になります。まずは以下にBarthel Indexの評価についてあげます。
adl3

Barthel Indexは満点は100点で評価を行います。FIMと違い項目によって点数の段階に違いがある為、注意が必要です。

問いで求められるのは、Barthel Indexにおいて自立が10点の項目はどれか?ということ。上記の表を見れば一目瞭然です。正答の1および4以外は、2の整容の自立であれば5点。3の平地歩行の自立であれば15点。5の車椅子とベッド間の移乗の自立であれば15点になります。Barthel Indexは、実際の生活でしている動作ではなく、この項目ができるかできないかで判断する評価法であり、項目の重要性に差が出ている評価法でもあります。

次のページでも、引き続きADLの過去問を出題しています。


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