TOYOTA(トヨタ)/トヨタの車種情報・試乗レビュー

HVを採用した新型ノアとヴォクシー、その実力とは?

2013年の販売台数でライバル車セレナに差を付けられたノアとヴォクシー。巻き返しのためトヨタが打った手は、新型車へのハイブリッドの採用。これにより燃費は向上しコストパフォーマンスは格段によくなった。しかし、自動ブレーキの非採用など、安全性が少し気になるところです。

国沢 光宏

執筆者:国沢 光宏

車ガイド

ライバルと比べて燃費は申し分なし

ノア

新型ノア

何と! 圧倒的な販売力を持つトヨタながら、2013年に於けるノア/ヴォクシーの販売台数は2車種を合計しても7万4224台で、9万4467台売った日産セレナに全く届かなかった。かつてないほどの大失敗作だったということ。トヨタとしても「こらマズい!」。

そこで新型は決定的な威力を持つハイブリッドの採用に踏み切ったのである。搭載されるシステムは、プリウスと同じく1.8リッター+モーターにより最大136馬力を引き出すユニット。車重1610kgと重いため、さすがにJC08燃費で23.8km/Lに留まったものの、立派な数値だ。

プリウスほど軽快な走りこそ期待出来ないが、16km/L前後という実用燃費になることだろう。標準エンジンを搭載するノア/ヴォクシーの実用燃費を9km/Lとすれば、車両価格差の45万円分など6万km走っただけでペイ出来てしまう。圧倒的な商品力だと考えます。

ライバルであるセレナやホンダ・ステップワゴンと比べても状況は同じ。6万kmくらい走った時点で、ノア/ヴォクシーHVの方が実質的に安くなってしまう。セレナやステップワゴンが30万円以上値引きしてくれれば、車両価格+燃料コストの合計でビミョウな戦いになりますけど。

自動ブレーキ非搭載なのは少し気になるトコロ

加えて凄いのはココまで。コストダウンに注力したのか、いかんせん古い。看過出来ないのが安全性です。事故を未然に防ぐ能力持つ自動ブレーキは、潜在的な危険性を持つ自動車という道具にとって”責務”に近い装備になりつつある。認知症や疾病などに起因する事故を防げる唯一の対策でもある。
ヴォクシー

新型ヴォクシー

意外なことにノア/ヴォクシーには、今や軽自動車でも当たり前になりつつある自動ブレーキが選べない。ちなみにセレナは昨年末に行われたマイナーチェンジで先行車や歩行者と衝突しそうになると自動でブレーキを掛けてくれる装備を加えている(装着車は238万4550円から)。

参考までに書いておくと、止まるブレーキの元祖アイサイトを持つスバルは、新型車レヴォーグの99%が自動ブレーキ付き。ホンダ・ヴェゼルの簡易式自動ブレーキすら80%の装着率がある。日本人の安全意識たるや世界一高いのだった。それを付けられない、というのは厳しい。

もちろんトヨタだって自動ブレーキの開発は行っていることだろう。事故防止に絶大な効能を持つ自動ブレーキが欲しいのなら(ガイドなら絶対装着車を選びます)、ノア/ヴォクシーに装備されるまで待つか、でなければセレナの自動ブレーキ付きを値引きしてもらって買うか、だと思う。

以上、安全が気にならないのなら新型ノア/ヴォクシーは大いに魅力的だ。安全性を気にするのなら、少し迷うべきです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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