若者から大人の男女になった二人の現実を描く
『ビフォア・サンセット』(2004年度作品)
ウイーンでの再会を約束して別れたジェシーとセリーヌだったけれど、それは叶わないまま9年の歳月が過ぎ、二人はパリの本屋で偶然再会します。パリの街でデートする二人。そのときの会話で、ジェシーが既婚者で子供がいること、セリーヌにも恋人がいることがわかります。
再会しようと約束した場所にセリーヌが現れなかったのは、理由があったのですが、何度も「来てくれたら」としつこいジェシー。まるで「あのとき会えていたら、自分の結婚相手は今の妻じゃなかった」みたいな言い方で「それは奥さんに対して失礼では!」と、ジェシーの身勝手さに少々怒りを覚えましたね。
しかし、そんなジェシーの精神的な未熟さ、セリーヌが9年間で背負ってきた出来事などが、会話の端々から感じられて、リアリティは相変わらず。若くはつらつとしていた前作よりも落ち着きを持った佇まいの二人に9年の年月を感じさせるところはさすがです。
監督: リチャード・リンクレイター
出演: イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、ヴァーノン・ドブチェフ、ルイーズ・レモワン・トレス、ロドルフ・ポリー
※次ページでは、最新作の『ビフォア・ミッドナイト』をご紹介。