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戸建の延長のように暮らせる「サ高住」事例(2ページ目)

今後の超高齢化を受けて大きな期待を寄せられている「住まいの新しい形態」としての「サービス付高齢者住宅」。今後、単身者世帯が標準となる中で、シェアハウスなど高齢者にとどまらない「住まい方」「家づくり」の在り方として注目されます。今回は、現役時代に長く戸建に住んできた高齢者が、その延長線で住めるようなサ付高齢者住宅をご紹介します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド


受付で家事サービス、駅までは無料送迎バス

和室

ゲスト和室。友人や家族が遊びに来たらここで過ごせる

広い玄関を入って迎えてくれるのは、コンシェルジュデスク。サ高住の適用条件となる「生活相談サービス」はここで対応。日常の困りごとや健康相談、家事サービス(買い物代行、部屋の掃除、洗濯)などをスタッフが対応するほか、訪問者対応・郵便物や宅急便を預かり部屋まで届けてくれたり、タクシーなどの手配もしてくれます。1日3回、駅までの無料送迎バスがあり、区役所や郵便局、病院、商業施設を循環してくれます。

その脇には庭に面して光あふれるコミュニティラウンジ。たとえば個室から出てちょっと開放的なスペースで新聞を読みたい時、外での散歩から帰ってきてすぐ個室に入るのでなく、ちょっとここでお茶を飲みながら休憩したい時などのために、ミニキッチンもあります。一人でゆっくり過ごせるカウンター席や、友人や遊びに来た家族と集うボックス席など、シーンに合わせたスペースが配置されている点も程よい距離感です。

時々孫が遊びに来るという程良い距離感

動線

寝室からすぐトイレに行ける動線

最近のシニア世代は子ども家族と一緒に住むのもいいけど、時々孫を連れて遊びに来てくれる距離感を求めている模様。そういうニーズに応え、キッチン・トイレ・浴室を備えた45平方メートルのゲストルーム(1日3000円で利用可能)があり、麻雀・囲碁・将棋・俳句など趣味の時間を過ごせるプレイルームや和室もあります。

次に個室空間をみていきましょう。用意されているのは1人居住用の1R(27平方メートル)と夫婦2人を想定した1LDK(46~52平方メートル)ですが、1人居住者でも広いほうを希望するため、広い間取りから埋まっていくのだとか。

室内

コンパクトながら狭さは感じない室内

バリアフリーは当然として、玄関には荷物を置いたり、座って靴を履くときに便利な折り畳みベンチや、車いすでも調理可能なIHオープンキャビネットキッチン、リビングと寝室の間仕切りは転倒防止のためレールがない吊り戸式、一定時間センサーに反応がない場合は異常感知システムが作動するなど、不安を安全に変える設計配慮。これらは実は高齢者だけでなく、小さい子どものいる家族や、子どもを一人で家で待たせることの多い共働き家庭でも安心な設計や設備ではないでしょうか。

今後、住居内にはクリニック、デイサービス、訪問介護事業所も併設予定で、パンフレットにある「時にはサポートを受けながら、安心の中で過ごすシニアライフ」は、今後増えるアクティブシニア世代にとって、押し付けではない、ちょうど良いサポート距離感ではないでしょうか。

屋上

屋上の共同菜園。隣人や孫たちとここで日向ぼっこしたり、ガーデニングしたり。

「シノン青葉台」の家賃例は、入居時費用として約65万、月々約22万円。物件によっては入居一時金が0円もあり、定期借地などのメリットを生かしてリーズナブルを実現しているとか。

耐震・バリアフリー等の構造を備え、行き届いた生活支援サービスがある「サ高住」、現在は国や自治体の政策支援でリーズナブル性が実現している面もありますが、今後も供給数が増えてて行くことで、市場原理的に一部の恵まれた富裕シニアのためだけでなく、より一般シニアが自然に考える選択肢の一つとして裾野が広がっていくことが期待されます。
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