大リーグ挑戦のために、前田が設定した2つの目標とは
田中将大投手のメジャー行きが確定的となり、メジャー各球団の次なるターゲットとして広島・前田健太投手が浮上。
昨シーズンは4年連続2ケタ勝利となる15勝をマークし、防御率2.10で、最優秀防御率のタイトルを2年続けて獲得した。何よりもエースとしてチームを16年ぶりのAクラス(3位)に導いたことが大きい。昨年12月10日に行われた契約更改では、7000万円増の2億8000万円でサインし、2007年の黒田博樹(現ヤンキース)の2億5000万円を超え、球団史上最高年俸となった。
前田の注目度は年々増しているのは間違いない。同学年の楽天・田中将大投手は新ポスティング・システムを使ってのメジャー行きが確定的となっているが、メジャー各球団の次なるターゲットは前田で一致している。評価を上げたのは、昨年3月に侍ジャパンの一員として出場したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だった。3試合合計15回を投げて2勝1敗、防御率0.80、18奪三振で大会ベストナインに選ばれた。この結果は、メジャーの評価を上げると同時に、前田の心にも火をつけた。それは「それなりの結果が出て、気持ちが強くなった部分はある。憧れがはっきりした」との言葉でわかる。
そして、前田は契約更改の席上、「自分の状態がいい時に行きたい。野球人生は一回しかない。絶対に後悔したくない」と、今オフにもポスティング・システムで米大リーグに挑戦する希望を球団側に伝えた。これに対し、鈴木球団本部長は「(制度を)利用する、しないは球団の判断」と慎重な姿勢を見せながらも、「彼なら通用する。挑戦することは素晴らしい。選手が挑戦したい気持ちもわかる」と理解を示したことで、が然、現実味を帯びてきたのだ。
しかし、話がそう甘くはないことも、前田は十分わかっている。そのため、大リーグ挑戦に向けて自分を鼓舞する2つの目標を設定した。1つはチームの1991年以来となるリーグ制覇、もう1つは2度目となる「沢村賞」の獲得だ。
沢村賞は2010年に15勝(8敗)、防御率2.21で初受賞したが、チームは5位に終わり、素直に喜べなかった。したがって、チームの優勝とは切り離して考えられない。
「2010年の沢村賞は狙っていたわけではないので、今年は目標にして取りたい。それには、全てにおいて圧倒的な数字を残さないといけない。もちろん、チーム全体で優勝に向かって頑張っていきたい」と前田は目を輝かす。その先にあるのは、メジャーのマウンドでの田中との初対決だ。